おすすめの本

いとしこいし 漫才の世界
喜味 こいし・戸田 学
岩波書店

昨年9月25日、「いとこい」の夢路いとしさんの訃報が伝えられました。その日、テレビ・ラジオで活躍し続けた夢路いとし・喜味こいしの漫才は、65年間の輝かしい歴史を閉じました。本書はその「いとこい」のしゃべくり芸の真価と魅力を閉じ込めた、珠玉の漫才史となっています。

現在のお笑いの主流は派手な動きや奇抜なシチュエーションのコントや、ピン(1人)芸人による漫談やものまね。一昔前ならばどつき漫才やギター漫談が流行りでした。そんな中「いとこい」は「しゃべくり」芸で突き抜けました。「君」「僕」の上品なしゃべりと日常性にあふれたネタ。実の兄弟ならではの絶妙な間。本書収録の名作選からは「いとこい」の声と観客の爆笑がよみがえります。

若い人には大御所過ぎて「NHKでよく見るお爺ちゃん2人」という印象かもしれません。でも「いとこい」が当時いかに新しい漫才だったか、ぜひ知ってほしいと思います。若手「しゃべくり」のますだおかだの台本集『漫才少年』とも読みくらべてみてください。

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