おすすめの本

沈黙の春
レイチェル・カーソン 著/青樹 簗一 訳
新潮文庫

「自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行っていってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。」(本書「第1章 明日のための寓話」より)

今年は第3回地球温暖化防止会議での京都議定書が発効し、地球のためのCO2削減に本格的に動き始めます。近年の世界的異常気象は地球の温暖化が原因とされ、その温暖化を食い止めるために第一歩を踏み出すわけです。もう利益さえあればよいという時代は終わりを告げ、環境を守るために何を取り組むべきか、国家や企業の課題ではなく、今やひとりひとりの課題ではないでしょうか?

本書は、1950年ごろのアメリカでDDT農薬散布が害虫駆除に表面的では有効に見えていても、農薬が食物連鎖の中で濃縮され、いずれ人間にその災いが降りかかってくる危険性があることを説いています。著者のレイチェル・カーソンは海洋科学者で、本書は実に綿密な分析で構成され、初版はもう40年前になりますが、未だに我々に警告を与えてくれる名著といえます。そして、人類も虫や動物と同じように地球の上で生かされている生命なのだということに気づかされます。

ところで、昨年末にその年の象徴的な漢字1字を全国に募集したところ、それは「災」でした。しかし、人類の取り組みしだいで災いがなくなる可能性があると信じたいところです。

「自分たちの満足のいくように勝手気儘に自然を変えようと、いろいろあぶない橋を渡りながら、しかも身の破滅をまねくとすれば、これほど皮肉なことはない。でも、それはまさに私たち自身の姿なのだ。あまり口にされないが、真実はだれの目にも明らかである。」(本書「第15章 自然は逆襲する」より)

Copyright(C) Iwakura high school library, All Rights Reserved.