おすすめの本

ダンボールハウス
長嶋 千総
ポプラ社

図書館の本の分類法であるNDCは、10の大項目の下にさらに10の中項目を配置し、その下にさらに10の小項目を持っている。おおよそ1000の項目で、この世のすべての本を順序よく棚に並べようというわけだ。

『ダンボールハウス』は、実にNDC泣かせの本だ。「社会病理-浮浪者」について書かれた本とするべきか?または「建築学-住宅」の本か? あるいは「政治-都市問題」?

著者の長嶋さんは当時、工学部建築学科の学生であった。「手作り建築としてのホームレスの小屋」の研究を卒業論文に選んだ長嶋さんは、地元名古屋でホームレス生活をする人たちへの聴き取り調査を重ねた。その期間実に三年。そうして観察を重ねるうちに長嶋さんは、ダンボールハウス建築には路上に生活の場を求めなくてはならなくなった人たちのことばと暮らしぶりとが反映されていることを発見していく。建築学は住まいの学問であり、住まいとは人生そのものであると、本書は雄弁に述べている。

われわれが公園や駅近くのダンボールハウスから目をそらすとき、それは他者の人生に思いをよせる自らの心からも、目を背けているのかもしれない。

ちなみに、NDCの総元締めである国立国会図書館は、この本の配置場所を「民俗学-民家」と決めた。民俗学の泰斗・柳田國男は言った。「民俗学は経世済民の学である」と。あるいは本書は、建築学の本でありながらも、民俗学の正統な後継者なのかもしれない。

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