おすすめの本

超能力番組を10倍楽しむ本
山本 弘
楽工社

テレビでは毎週のように「超能力者」や「霊能力者」が登場して、行方不明者を探したり殺人犯の行方を追ったりしている。
ネットには常に「都市伝説」や「陰謀論」が書き込まれて、おどろくべき世の中の裏面を暴いている。
つまらない〈常識〉をテレビやネットが次々にくつがえす。
これまでの〈科学〉がまったくガラクタ同然に思えてくる。

でも。
それで一体何が起きたといえば。
まったく何も変わらない。
行方不明者は見つからず、犯人は以前逃亡中だし、曲がるのは常にスプーンだけで、「陰謀団体」は世間でつまはじきにされることもない。これはどういうことなのだろう。
間違っているのは「TV番組以外のすべての世の中」なのか、それとも「番組」のほうなのか。

本書は「超能力番組」の一見もっともらしい映像を丹念に検証して、そのウソをひとつひとつ見つけてゆく。
「雲を消す超能力」は単なる自然現象だし、「ビンから消える錠剤」は事前に抜かれているし、「予知」はどうとでもこじつけられる言葉でなされるし、「透視」や「ダウジング」は的中した場合しか放送されないし、超能力者の活躍は行方不明者を見つけない。ある超能力者の肩書き「FBI超能力捜査官」にいたっては、TV局のつけた芸名だ。
そうしたインチキを見抜くのに著者が用いる技術は、特別なものではない。きちんと観察し、調べ、現地を歩いて、考える。それだけのことだ。

テレビが伝える「ほんとうのこと」に、いかにたくさんの「思い込み」や「勘違い」や「演出」という名の「インチキ」といった「ほんとうでない」ことが混じっているか。テレビやネットはその気になれば、真実を捻じ曲げ、作り出すことができるのだ。
テレビやネットの情報を鵜呑みにする怖さを、本書から学ぶことができるだろう。
それが今の社会で求められる能力―メディアの批判的な読み方の技術、つまり「メディア・リテラシー」なのだ。

お笑い芸人が語る都市伝説は、なぜ最後に「信じるか信じないかは、あなた次第です」と念押しするのか、考えてみなくてはならない。
それは「もしこのデタラメを信じ込んでマズいことが起きたとしても、信じたあんたが悪いんだよ」という意味の、番組内で堂々となされる責任逃れのキメ台詞なのだから。

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