No.6 「ことば」2018/12/3
【校長からの発信】
No.6 「ことば」
2018年12月3日 校長 浅井 千英
人類が誕生して以来、数々の試練を乗り越えて今日の繁榮を達成した主要な理由の一つはその発達の途上でことばという通信手段を持ったことです。しかもそのことばを絵や文字という形で記録し世代を超えて伝達できたことです。
現在、世界には数千万人の人が母国語として使っている主要なものから、一つの集落のみで母国語として使われているものまで含めると約7,000種類があると言われています。それぞれのことばは固有の文化とともにはが育まれてきました。一つの母国語しか持たない人々(monolingual)の全世界人口75億人に対する割合は約30%と言われており、日本もこの中に入ります。残りの約70%の人々は二つもしくはそれ以上の数の母国語を使いこなしています(bilingual。trilingual, multilingual)。
科学技術の進歩は人々の移動を容易にし、人口増加、資源不足、環境劣化等の問題を誘発しました。これらの問題を解決するため国際交流・協調が必要不可欠な状況になっています。日本も第二の言語として現代の国際共通語(lingua franca)である英語の力を向上させて国際協調を促進させる必要があります。
ことばを使う場合、「聞く・話す・読む・書く」の4技能が必要です。「聞く・話す」は主に直接対面しての情報交換であり、相手の表情が見えるので、これがことばによる情報伝達を補足することになります。「読む・書く」は相手と対面しないのでことばだけが頼りであり、それだけに誤解が生じやすく慎重にことばを選ぶことが必要になります。メールやラインでしばしばトラブルが生じる原因はここにあります。また「聞く・読む」は情報収集であり、「話す・書く」は情報発信です。「聞く」は相手の話をよく聞くこと、話を途中で遮らない、はっきりしないことは相手の話が一段落したところで確認の質問をするなど留意する必要があります。
「読む」は単純な作業のように見えますが、読解力・発信力の源泉であり、若い時から多読の習慣をつけることが重要で、インターネットではなく印刷物の本の多読が重要です。聞く力と読む力がないと情報発信力はあるレベルで止まってしまいます。加えて発信力の向上には一定の訓練が必要です。
皆さんは、年末から年始にかけて自分の時間が多くとれると思います。時間を有効利用し、まずは多読に心がけてください。4技能については新年になってからもう少し伝えたいと思います。