No.25「Post-Covid19, IT Literacy, Low-carbon Society, SDGs」2020/9/1
【校長からの発信】
No.25「Post-Covid19, IT Literacy, Low-carbon Society, SDGs」
2020年9月1日 校長 浅井 千英
新型コロナウィルス感染症流行は私達の日常活動に大きな影響をもたらしています。日本では8月末になってやや小康状態になっているかに見えますが、これから重症者が増える可能性があり、このウィルス自体の知見は多少蓄積されたものの、基本的に未知であることに変わりはなく、酷暑が去っても、油断は禁物です。秋から冬にかけてインフルエンザとともに流行し、医療機関への負担が急増して、最悪の場合、医療崩壊の危険性も孕んでいます。治療薬や、ワクチンは開発中で決定的な感染予防策は確立されていません。今私達にできる予防策は皆さんも理解していると思いますが、三密回避、マスク着用、換気の徹底、食前及帰宅時などにハンドソープによる手指洗浄すること、飲食の時、長居をしない、大声で喋らないなどですが、これに加えて、この冬を乗り切るため、インフルエンザの予防注射を受けることです。(ただし、個々人の体質、健康状態を考慮して受けられるかどうか.専門家に判断してもらう必要があります。)
地球温暖化など、我々の環境が著しく変化しているので、新型コロナウィルスだけでなく、今後、いろいろなウィルス感染症、そして異常気象や地震などの自然災害が私達の身近に迫ってきます。このような時代に生まれてきて損をしたと思うかもしれませんが、歴史上、このように社会生活が規制されることは疫病流行中や戦時中などにしばしば起こっています。今回のコロナパンデミックの状況に対応するため、今のうちに私達の日常生活を再点検しておくことが必要で、三蜜を極力回避しつつ、日常生活を活性化するにはどのようにすれば良いのでしょうか?情報技術が高度に発達した現代では、有効な解決手段の一つがソフトウェアを駆使したネットワーク技術の推進です。オンラインの通信だけでなく、再生可能エネルギー(自然エネルギー)により発電された電力を効果的に蓄積・分配できるネットワークの開発です。そして人口の都市集中を抑え、分散させることです。このことは防疫のみならず、防災・減災の観点からも重要です。
これらを実現するために重要なことはITリテラシーを理解し、そのスキルを高めることです。ITリテラシーは三つの要素からなります。
- 情報基礎リテラシー
- コンピュータリテラシー
- ネットワークリテラシー
1は情報を探し出し、精査し、正しく使う能力、2はコンピュータを操作する技術・知識、3はネットワークやセキュリティに関する技術的な知識を理解する能力です。
すでに社会生活では、人と人との間隔を充分にとった上で、透明のシートで飛沫感染を防ぐなどの措置が取られています。また、会議やテレビの番組でも、リモート参加が常態化しています。対面授業でも、オンライン授業でも、会議でも、オンライン双方向で行われることが多くなっています。おそらくコロナ前の状態に完全に戻ることはないと予想されます。そうだとすれば今ITリテラシーを身につけておくことはこれからの社会を担っていく皆さんには不可欠な技能です。
インターネット上で、情報を収集するだけではなく、ネットワークにアクセスすることでいろいろな専門分野の方々と共同して新たな価値を創造し、また、リカレント教育のチャンスも生まれるでしょう。いずれにせよこれからの時代はネットワーク上にプラットフォームを構築することにより情報共有を進めて、活動の幅と深さを一段と拡大することが可能になります。
一方、コロナの影響で私達の心に植え付けられた感染に対するリスクマネジメントが人と人とのマインドディスタンスにどのように影響しているか気になるところです。際限のない資源利用とグローバル化の中で起きたパンデミックの先にどのような未来を描くか?そろそろ私たちは身の丈に合った生き方を考える必要があるのではないでしょうか。人間同士だけでなく、人間と自然が調和して生きる道を探るべき時代に来ているのではないでしょうか。このためにもコンピュータ・ネットワークを正しく使いこなす技能と知識(I Tリテラシー)を確実に身につけてください。
今、ヨーロッパではLow-Carbon Societyを目指す取り組みが動き始めていて、当からず日本でも導入されることになるでしょう。端的な例として自動車を考えてみましょう。電気自動車は走行するときには炭酸ガスを発生させませんが、使用する電気を発電する発電所で大量の炭酸ガスを発生させています。また電気自動車を構成する部品の作製するため、および自動車を組み立てるために消費するエネルギーを作るため大量の炭酸ガスを発生させています。自動車を設計・製造して数十万キロを走破し、自動車を解体して素材に戻すまで、使用するエネルギーと発生される炭酸学ガスの発生量を最小限にすることが求められます。このために、自然エネルギーを効果的に利用して発電し、余剰電力を蓄積し、消費地に最小限の送電ロスで送り届け、消費に際しては無駄なくより効果的に電力を利用することが必要になります。
人類の叡智を総動員して、大気汚染や地球温暖化などの地球の環境劣化を抑えて、飢餓や貧困を絶滅することが人類の生存と世界平和のために重要です。