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No.26「SDGs, Digitalization, DX, Society 5.0」
2020/10/2

【校長からの発信】
No.26「SDGs, Digitalization, DX, Society 5.0


2020年10月2日 校長 浅井 千英

 

Internetなどのメディアにこれらの言葉がしばしば現れるようになったのはこの数年間だと思います。なんでSociety 5.0であるのか:理由は過去に1.0〜4.0があったと定義しているからです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く Society 5.0は情報社会をさらに進めて、現実空間と仮想空間を融合させて経済発展と社会的課題の解決を両立させる人間中心の社会を目指すものです。IoT(Internet of things)やAIなどをToolとして使い、安全で安心な、豊かで質の高い、持続的に発展できる社会を実現させようとするもので、SDGsもこのSociety 5.0の主役の一つです。例えば、自動車の運転を安全な物として交通事故を低減させ、ドローンや無人ロボットを使って農業にかかる労働負担を低減させ、医療、社会インフラ、物づくりから様々な分野でIoT(Internet of things)やAI(Artificial Inteligence)などのテクノロジーの利用を促進し、少子高齢化社会に対応して生産性を高めることを目指します。

社会が変革していくまでには、変革を必要とする欲求が長年にわたり累積していてこれが限界点になった時、新たな社会規範(Society 5.0という表現は2016年日本政府が策定した第五期科学技術基本計画にあらわれています。)が新たな目標となります。ある日突然にSociety 5.0になるわけではなく、徐々に進行していきます。

情報社会は1980年代後半から徐々にその流れが生まれ、1990年代にInternetの普及とともに本格的幕開けを迎え、現在もその延長上にあります。AIは古くは1940年代にその考え方が生まれましたが、2000年代になり、ディープラーニング、機械学習などの発達とともに表舞台に登場してきました。その後、関連する技術の発展に後押しされて、IoT、AIなどとともにSociety 5.0を牽引する要素になりつつあります。工業時代、情報時代の歪みを修正し、SDGsを達成、新たな社会規範の実現を目指します。

ここでグローバリズムについて考察しておきたいと思います。グローバリゼーションという言葉は第2次大戦後、アメリカや欧州の多国籍企業の活躍とともに現れた言葉ですが、広く認知されたのは1980年代のアメリカ大統領ロナルド・レーガンの時代です。この時代はイギリスのマーガレット・サッチャー、中曽根康弘、小泉純一郎などがグローバル化を推進し、1991年ソビエト連邦崩壊後、一気にグローバル化の時代を迎えます。1995年には世界貿易機構(WTO)が創設され、自由貿易が推進されました。これにより世界貿易は促進されましたが、各国内では貧富の差が拡大して、グローバル企業は国際競争に疲弊し、新たなイノベーションも難しくなってきました。

一方、中近東では2011年アラブの春という民主化運動が起こり、アラブの独裁政権(エジプトのムバラク政権、リビアのカダフィ政権が崩壊し、その飛び火でシリアのアサド大統領による独裁政権に対しても抵抗運動が起こり、これが内戦に発展し、大量の難民が発生、これらの結果として大量の難民がEUへ流入しました。そして多くの難民が EUの中で比較的経済が好調であったイギリスに流入しました。この結果としてイギリスの労働者は難民に仕事を奪われることを恐れてEU離脱運動を起こし、国民投票の結果EUを離脱することになりました。他のEU諸国でも、当時の選挙で現状に不満を持つ勢力が台頭してきました。2016年のアメリカ大統領選挙では自国第一主義を標榜するトランプ氏が大方の予想に反して勝利し、TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement:環太平洋経済連携協定)から離脱しました。他国でも必ずしも民意に沿わない独裁色の強い指導者が台頭してきました。また、2020年初から始まったコロナウィルス感染症の世界的パンデミックは現時点でも治まっていないうえ、上述の国際政治状況とあいまってグローバリズムはこのところやや影を潜めています。

これからの世界、そして日本はどうなっていくのでしょうか?これからの世界は秩序ある国際協調なしには発展できないと思われます。物的資源が少なく、世界に先んじて少子高齢化を迎える日本はSociety 5.0の良い面を最大化させ、負の側面を最小化させ、TechnologyとSoft Powerを駆使して、国際協調を促進させることで重要な役割を果たしていくべきだと思います。これらの力をつけるためには一人ひとりの知識、技能、思考力、協調性、言語能力、特にBilingualの能力などの向上が必要不可欠です。

最近、digitization、digitalization、DX(digital transformation)などという用語を目にするようになりました。簡潔な表現をするとdigitizationはアナログからディジタルへの変化のプロセス、digitalizationはディジタル化されたものを利用して新たなビジネスモデルなどを組織、または組織の枠組みを超えて戦略的に構築して新たな価値を作り出すこと、DX(digital transformation)は社会全体・組織全体に影響を及ぼすような変革です。Google、Amazon、MicrosoftなどがDXで先行、日本でも経済産業省、数社の民間企業がDXに向けてdigitalizationを取り入れて徐々に社会的な影響を出していますが、日本全体としてはまだこの潮流に乗りきれていない現状です。コロナ感染症を克服するためにも、広く社会にDXを実装する必要があります。

人間が社会で相互に有機的な繋がりを維持・発展させて活気に溢れた生きがいのある楽しい生活の実現することを目標とします。

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