No.2「聴く力…聴くことの効用」2021/4/26
【校長からの発信】
No.2「聴く力…聴くことの効用」
2021年4月26日 校長 森田 勉
授業がスタートして、2週間が過ぎました。生徒のみなさんにとってどんな2週間だったでしょうか? 授業の様子を見たところ、新入生はもちろんのこと、上級生たちも適度な緊張感で授業に取り組んでいるようで、とても好感が持てました。「好感が持てる」ということで思い出したことがあります。それは、4月8日の始業式での3年生の態度でした。その「聴く」姿勢がとても良く、きちんとしていてとても感心し、頼もしく感じました。2年生は教室にてライブ配信での参加ということでしたが、どうだったでしょうか。
そこで今回は、しっかりと聴こうとする心構えの大切さ、つまり「聴くことの効用」について書いておこうと思います。
人間は80%以上の情報を目から読み取っていると言われるほど、視覚優位の動物です。しかし、そのことにより前方にしか注意が向かない、という弱点もあります。一方、耳による感覚=聴覚は、受け取る情報量や指向性は視覚に劣るものの聞こえる範囲は全方位型です。ですから、後ろから迫ってくる目には見えない危険を、その物音によって耳で察知できるのです。イヤホンで音楽を聴きながら自転車運転をしている人はいませんか? 非常に危ない行為なので絶対にやめてほしいものです。
さて、前置きはこのくらいにして、「聴くことの効用」について書いておきましょう。
その1 … しっかり聴けば、話し手の気分がよくなる。
聴き手がしっかりと聴いていると、すなわち“聴き上手”でいれば、話し手は気分を良くして、メインテーマを補足する有益な内容も披露したくなります。そうすると、聴き手の私たちは、期待値以上の“面白い”話しを聴くことができて得をすることになります。
その2 … しっかり聴けば、成績が上がる。
授業に関して言えば、当然、集中力が増しますので成績アップにつながります。忘れそうになっているのなら、メモを取りましょう。つい先日知り合いの大学教授から聞いた話ですが、最近の学生はノートを取れない、と言っていました。だから成績も良くない。学力や教養が身につかないと。これも、高校時代の習慣です。最初は意識しないとできないことも、習慣になるまで頑張りましょう。そうすれば無意識にノートやメモを取れるようになり、聴く力もどんどんついて、みなさんの知性は大いに増すでしょう。将来の大きな“武器”になると思います。
その3 ・・・ 先読みができるようになる。
「一を聞いて十を知る」という言葉があるように、人の話をよく聴くようになると、次に、その人が何を言うのかが読めるようになっていきます。すなわち、より理解力が深まり、コミュニケーションも豊かになります。人が話しているときにその真意を読み取るように集中してみましょう。相手が伝えようとすることを読み取る能力をつけることは、将来的に、みなさんのコミュニケーション能力を高め、気づきや気働きができて“気の利く”人になれます。これは大きな人間力の一つを身につけるということになります。
いかがでしょうか。聴く力を身につければはたくさん得るものがあると思います。まずは人の話を「聞き流さない。聞き逃さない」ということを意識することです。その心構えが大切です。それが習慣となれば、相手の話の真意をつかみ、自分で噛み砕くことによって自己理解・自己発見にもつながります。そしてはじめて、主体性や意欲が生まれてくるものです。聴く力を身につけることは、岩倉スピリット「仲間とともに、主体的に学ぶ、考える、創造する、そして行動する」の礎になるものです。頑張っていきましょう。