No.4「学ぶ意味」2021/5/17
【校長からの発信】
No.4「学ぶ意味」
2021年5月17日 校長 森田 勉
新年度が始まり1ヶ月半が過ぎようとしています。生徒のみなさんは充実した毎日を過ごしているでしょうか? 時が過ぎるのは早いものです。みなさんの人生時計*の針は確実に時を刻んでいます。日々の、その瞬間々々を無駄にしないように心がけていきたいものです。連休明けから少し不安定な気候が続いていますし、コロナの変異株が脅威となっていますので、体調を崩さないように注意して下さい。中間試験も1週間後に迫ってきました。勉強に集中する期間がやってきました。体調管理にも気を配って準備勉強を進めて下さい。
さて、今日は、中間試験直前ということもあり、『学ぶことの意味』について書いておきたいと思います。
私は、今学期当初、2、3年生には始業式で1年生には入学式の場で、みなさんに「人間はなぜ学ばなければならないか?」と問いかけています。これからも機会あるたびに問いかけ続けていきます。その問いに対する私の考えは、卒業証書授与式の日に卒業生に向けて披露することにしています。その問いかけの中身は今日のテーマの「学ぶ意味は何か?」ということと通ずるものです。それでは、その学ぶ意味はどこにあるのでしょうか? 今日は二つの答えを伝授しておきましょう。
一つ目の答えは前述の機会にすでに示しています。それは、「人間の尊厳や命を守るために学ぶ」という答えです。「真理や真実を追究していく、すなわち学んでいく姿勢は人間の尊厳や命を守ることに直結する」からです。
もう一つの答えを披露しておきましょう。それは、「それを考えるために学んでいる」という答えです。なにやら禅問答のようで、ごまかされたような感覚を持つでしょうか? しかし、まじめにそう考えています。
みなさんは、高校3年間で、様々なことを学びます。授業においては知識の習得を通して、自分流の学び方を身につけます。クラブ活動では、自分の好きな活動を通して個と集団との交わり方や知性的経験を学びます。そして、学校行事では、多様な意見から合意に至る議論を通して妥協と協調との違いや折り合いの付け方を学びます。こうした、経験を通じて、その学ぶ意味や方法を習得していきます。つまり学ぶ意味とは解釈の問題ではなく、みなさんが自己を高めていく実践を通して体験・把握していく、それも仲間と共に楽しみながら体得していく内容なのです。1年生には、入学式で、それを「学ぶ喜びを体得する」ことであると言明しました。
実はこのことがもっとも大切です。先行きの見えない未来社会の中で力強く生き抜いていくためには、学び続けようとすること、そしてそこに喜びを感じられることが、強みとなり“武器”になるからです。それは、今年度から未来型の理念として発信している「岩倉スピリット」にも通じています。すなわち、「仲間とともに、主体的に学び、考え、創造し、そして行動できる能力」を身につけることであり、実践することです。
少し話が難しくなってきました。言い方を換えれば、学ぶ意味の二つめの答えは、「自分でとことん考え抜くことが大切である」ということです。
今学期最初に発信した、「人間はなぜ学ばなければならないか」という問いかけは、より哲学的で、そして自分自身への生き様についての問いかけです。これからみなさんに時々は思い出して自問自答してほしい問いかけです。
最後に、いよいよ中間試験が迫ってきました。学ぶ意味を考える上でも絶好の機会です。準備勉強を通して、自分流の学び方を身につけ、学習を中心とした基本的生活習慣を確立することにつなげてほしいと願っています。みなさんなら必ずできると信じています。頑張ってください。
*人生時計 … 人の一生を1日24時間にたとえてみたとき、いま自分が何時頃にいるのかの目安を表すと言われているものです。自分の年齢を3で割ればその時間が求められます。生徒のみなさんの時計の針は午前5時~6時頃を指しているでしょう。目覚めどきであり、人生の黎明期です。ちなみに私の針は、夜の10時頃を指しています。もう就寝時間です(笑)。