No.8「最近の学校行事から」2021/6/11
【校長からの発信】
No.8「最近の学校行事から」
2021年6月11日 校長 森田 勉
昨日6月10日は「時の記念日」でした。新年度が始まり、2カ月が過ぎました。「時間を大切に」とはよく言われますが、生徒のみなさんはいかがでしょうか。みなさんの“人生時計”の針はまた少し進みました。充実した時間を過ごせていることを祈っています。
さて、今回は、6月に入ってからの主な学校行事を話題にしたいと思います。6月4日(金)の「創立金東記念講話」と8日(火)の「体育祭」についてです。
まず、「創立金東記念講話」からです。この行事は、本校の明治30年(1897年)の創設時に多大な貢献をされた金東先生にあやかって位置づけられたものです。金東先生の、金東というお名前は雅号であり本名ではありません。金の鯱で有名な名古屋城の東にお住まいがあったことから、雅号を「金東」とされたそうです。本当のお名前は山田英太郎先生と言います。この金東先生が昭和21(1946年)年6月6日に亡くなられたことから、その命日を金東先生記念日としています。今年の6月6日は日曜日ですから、二日前の4日に記念講話の日としました。金東先生は本学園の理事を創立当初から50年ほど務めて学校経営に腕を振るわれて、晩年の約20年間、第4代の校長を務め、多くの優秀な鉄道人を輩出しました。
おそらく、この時代の人たちは、NHK大河ドラマの渋沢栄一に代表されるように、西洋に追い付け追い越せという気概を持って、日本の近代化に大きく貢献寄与したものであり、金東先生もその一人であったことは間違いないことでしょう。その金東先生の功績にあやかって、私たちも、志を下げることなく、自ら自分の明るい未来を切り拓いていく姿勢でもって力強く生き抜いていきたいものです。そこで、この日の講話は「強い心構えがすべてを変える」というテーマで話をしました。
アメリカのペンシルベニア大学の心理学教授アンジェラ・ダックワースの唱えた「やり抜く力」を紹介して、「ひとつの重要な目標に向かって、失敗してもくじけずに、粘り強く努力を積み重ねてやり続けていく強い心構え」すなわち「やり抜く力」の大切さについて解説しました。それが、未来の成功の秘訣であると強調しました。そして、最後に同じくアメリカの心理学者・哲学者であるウィリアム・ジェームズの以下の言葉を披露して結びました。
心が変われば態度が変わる。態度が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる
生徒のみなさんは、いつも言うことですが、ものすごい潜在能力を持っています。その能力を引き出し高めていけるように「強い心構え」をもって日々の努力を欠かさないでほしいと思っています。
次に、6月8日(火)に東京武道館で行われた体育祭についてです。昨年度は新型コロナ感染症の影響で中止となっていましたので、2年ぶりの開催となりました。あって当たり前だと思っていた諸行事がなくなった昨年度でした。今年度はなんとしても開催したいと願い、安全安心を最優先にした実施計画(学年ごとの実施や、応援は声を出さずに拍手や鳴り物のみ、そして競技中でもマスクを着用するなど)を綿密に立てて準備していました。いったんは、三度の6月20日までの宣言延長で半分あきらめかけました。しかし、みんなの願いが通じたか、幸運なことに、東京都から武道館の貸し出し許可が下りたのです。安全安心優先のため、学年別や生徒のみでの変則的な形とはなりましたが、何とか実施することができました。行事ができることの有り難みを一人ひとりが感じながら体育祭本番を迎えたのです。
前日に校長室を訪ねてくれた実行委員長と副委員長から、「感染防止の徹底と、その中でも楽しむことをテーマとしたい」という力強い言葉がありました。当日は、98人の実行委員生徒による運営、各クラスの保健委員生徒による観客席の消毒、放送部のアナウンス等々生徒たちの見事な下支えがあり、無事に楽しく進行していきました。
競技は2年、1年、3年の順に入れ替え制で実施し、赤黄青緑の4団体に分かれた団対抗の形で行われました。種目は1チーム20人+回し役2人の「大縄跳び」、25人ずつの「玉入れ」、25人ずつの「綱引き」、そして30人がバトンを渡していく団対抗リレーの4種目ずつでした。どれも楽しく愉快でしたが、体育祭の花形競技である最後のリレーは、どの学年もまさに“血沸き肉躍る”感じでかなり盛り上がりました。結果的には3学年のトータルで総合優勝は黄団が獲得しました。1年生はもちろんですが、2年生にとっても初めての体育祭でした。生徒たちのとても嬉々とした表情が強く印象に残っています。3年生にとっては最後の体育祭となりました。この学年の生徒たちは、昨年度から数々の諸行事が中止となった不運な学年の生徒たちです。少しでもこの体育祭が思い出になってくれたらいいなあと思わずにはいられませんでした。
やはり、高校生には、「みんなでワイワイガヤガヤ」とする場が必要だな、とあらためて強く感じました。祝祭的な雰囲気の中で共に成長していけるのが、こうした体育祭のような学校行事の優れた点であると信じています。これから先も、コロナ感染症に十分に注意しながら、可能な限り、可能な形で諸行事が実施できるようにしていきたいと思っています。生徒たちにも、「楽しかった」で終わらせるのではなく、しっかりとこの体育祭を通じて成長できた部分を振り返り、できればそれを言葉にして(文書に残して)、自分の財産として蓄積してほしいものだと思っています。それが、後で振り返ったときのかけがえのない思い出となるからです。