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No.10 7月7日は「七夕の節句」
2021/7/5

【校長からの発信】
No.10  7月7日は「七夕の節句」


2021年7月5日 校長 森田 勉


  梅雨の季節になりました。私事ですが、つい先日の6月30日に60何回目かの誕生日を迎えました。考えてみれば、いや、考えるまでもなく、私が生まれた日は梅雨の最中でしたので、美しい星空は望めなかったと思います。黄道十二星座でいえば「かに座」になります。これは、ちょうど生まれた日に太陽が「かに座」の近くにいたことを示しているもので、その夜に「かに座」が見えるということではありません。

 最近は、便利な天文ツールがあります。ステラナビゲータというソフトを使うと、自分の生まれた日時の星空をパソコン画面上で見ることが可能です。ちなみに、私が生まれた1955年6月30日の午前7時頃、「かに座」のところに木星がきていたようです。そこで、私は自分で勝手に木星を「私の一番星」と決めています。星占いでは、木星は幸せを呼ぶ、いわゆる吉星と言われているようです。星占いを信じるか信じないかはともかくとして、星を見ると心が癒やされる人が多いことはよく知られています。私も気分が落ち込んだときは、木星を見て元気をもらっています。みなさんにも、ぜひ「私の一番星」を持ってほしいなあと思っています。

 ところで、この時期のイベントといえば、7月7日の節句、すなわち七夕祭りです。みなさんも七夕伝説はご存知だと思います。簡単におさらいしますと、「恋に溺れて働かなくなった牽牛と織り姫。怒った天帝(天の神様)が、二人が会えなくなるように天の川の両岸に離ればなれにしてしまいました。織り姫は泣いてばかりの毎日。天帝は、これから二人がまじめに働くことを条件に、年に一度、7月7日の七夕の夜だけに会うことを許しました」というお話です。牽牛と織り姫星の“デート”の日ですので「星合(ほしあい)の日」とも言うようです。何とも、いい響きですね。 

 この二つの星のことを少し解説しましょう。牽牛とは彦星のことで、わし座のアルタイルです。また、織り姫星はこと座のベガです。両者とも1等星であり、私たちの太陽と同じ恒星の仲間(主系列星とよばれています)で、水素からヘリウムを合成する核融合のエネルギーで輝いています。彦星は地球からは17光年離れていて、太陽の2倍の大きさで、寿命は10億年ほどだと考えられています。また、織り姫星は地球から25光年ほどの距離のところにあり、大きさは太陽の3倍ほどで、寿命は同じく10億年ほどであろうと予想されています(星々の寿命は諸説あります)。実は、この二つの星と星の間の距離は15光年離れています。すなわち光の速さで行っても15年はかかる距離ということです(新幹線で行くと約5千万年かかります)。これでは、1年に1度会うことは難しそうですね。

 まあ、そんな野暮なことは言わずに、何らかの力(神の力?)が働いて、1年に一度会えたと仮定してみます。この二つの星々(彦星と織り姫星)にとっての1年間という時間を私たち人間に当てはめるとどんな時間になるかを計算してみましょう。この二つの星が10億年生きると仮定します。そして、私たち人間の寿命をおおざっぱに見積もって100歳としましょう。すると二つの星にとっての1年は、人間に当てはめてみると、次のように簡単な数式で求められます。

10億年 ∶ 100年 = 1年 ∶ X

 すると、X = 1.0×10-7年 ≒ 3秒 です。わずか3秒に相当することが分かります。この時間をみなさんはどのように受け止めますか? 恋人同士だから3秒間も離れていられないかもしれませんね(笑)。

 いずれにしても、もうすぐ七夕です。梅雨空で毎年見えないのに、どうして7月7日を七夕として位置づけているのでしょうか? 江戸時代のような昔は晴れの日が多かったのでしょうか。その答えは、実際の七夕は旧暦の7月7日だったからです。今年の伝統的七夕の日は8月14日です(国立天文台が発表しています。昨年は8月25日でした)。良い天気の確率が高くなりますね。夜8時ごろ天頂付近にベガやアルタイルが見えますので、ぜひ見てみてください。

 生徒のみなさんは、この日(7月7日)から期末試験が始まりますね。テスト勉強の疲れを癒すために、童心に帰って、短冊に願いを込めてみるのもいいと思います。しばし、星に願いを込めてみてはいかがでしょうか。

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