最新情報

No.16 お月さまの不思議な見え方
2021/10/21

【校長からの発信】
No.16  お月さまの不思議な見え方


2021年10月22日 校長 森田 勉

 

 「秋の日は釣瓶落とし」とはよく言ったもので、本当に日が暮れるのが早くなりました。その分、早くから星空を楽しめます。10月20日(水)の夜空も奇麗でした。夕方6時ごろ、西の空には金星やさそり座のアンタレス。天頂近くには夏の大三角(ベガ、アルタイル、そしてデネブ)。そして南の空には木星と土星、さらにはフォーマルハウトとにぎやかでした。そして何と言っても東の空から昇ってきた満月はひときわ美しく輝いていました。秋の月は落ち着きがあるような感じで、見ていると心穏やかな感覚を持ちます。しばし月光浴を楽しむことができました。今回は「お月さま」についての話題をふたつほど紹介しましょう。

 まず一つ目の話題です。先月、中秋の名月が東の空から昇ってきたとき、それを見た6歳になる孫が「どうしてお月さまは大きいの?」と何の気なしにつぶやきました。みなさんも、地平線近くの満月を見たことがあって、そのときの月の大きさに圧倒されたことがあると思います。そうなんです。地平線近くにいる満月は空高く昇ったあとの満月よりもずいぶんと大きく見えるものです。しかし、これは「錯視(さくし)」といって、大きさが違って見えるのは錯覚であることが分かっています。身近にある五円玉を使って確かめることができます。手を大きく伸ばして、五円玉の穴を通して地平線近くの満月と昇ったあとの満月をのぞいてみてください。違いがないことが分かると思います。それでは、どうして違って見えるのか、ということについては諸説あるようです。私がいま一番もっともらしいと思う説明は、「私たちは、モノの大きさを感じるとき、何か知っているものと比較して見ているので、月が地平線近くでは建物など(脳が無意識のうちにそこまでの距離やその大きさを判断してしまっている)と比較できますが、空高く上がると比較できるものがなくなるために違って見える」というものです。みなさんはどう考えますか?

 次は、文部省唱歌の『月』の歌にまつわる話です。この歌の歌詞をご存知でしょうか?

それは、

 出た出た 月が

 まるいまるい まんまるい

 盆のような 月が

という歌です。小さい頃に歌った記憶はありませんか? この歌詞の最後の部分「盆のような月が」に着目してください。「盆」というのは知っての通り、茶器などを乗せる平たい円板状の形をしたモノです。つまり、この歌は「月は円い板のように見える」と歌っていると読み取れます。しかし、みなさんは実際の月は板ではなくて球体であることを知っています。それでは、この歌詞は間違っているのでしょうか。

 以下の二つの写真を見比べてください。左側の写真は、皆既月食(2014年10月)の直前に私が撮った写真の満月です。右側はゴルフボールの写真です。違いがわかりますか?

同じような球体のはずですが、満月はゴルフボールにくらべて“平たく”見えませんか?

 実は、月面は「レゴリス※」と呼ばれる細かい粒子に覆われていて、それが光を乱反射するために、月の真ん中でも端っこでも明るさがあまり変わらない、すなわち月は私たちが見ると実際に平面に見えるのです。ですから、先の歌は間違っていないというわけです。

 地球に一番近い天体である月。他にもいろいろと魅力満載です。興味のある方はご自分で調べてみてください。

 

※レゴリス
月、惑星・小惑星などの天体の表面に分布する微小天体の衝突によって生成したガラス片、粉末(ダスト)等の総称。大きさは数十ミクロンほど。月面では水が流れないために、ほぼ全てが数cmから数十mの厚さで覆われているという。

Return to Top ▲Return to Top ▲