No.23 月の高さについて2022/2/15
【校長からの発信】
No.23 月の高さについて
2022年2月15日 校長 森田 勉
先週の2月12日(土)、一般入試(2回目)の判定会議を終えて、自宅近くに帰ってきたのが夜9時頃でした。昔は入試の夜は午前様になることもあったななどと感慨に耽りながらふと空を仰いでみました。すると、半月より少し膨らんだ月がほぼ天頂にあり、そばにはふたご座の1等星のポルックスが白く輝いて見えていました。それは入試業務の疲れを癒す月光浴と星空でした。1回目(10日)と2回目(12日)で合計875名の中学生が受験して無事に終えることができました。本当に有り難いことだなと思いながらしみじみと月を眺めていました。その月は、首が痛くなるほど高いところで煌煌と輝いていました。
みなさんは、この時期の月の高さがとても高い、ということに気づいていましたか? その逆に夏至のころは月の高度は低くなります。どうしてそうなるのか、少し解説してみましょう。
下図をご覧ください。この図は、太陽の周りを1年かけて公転する地球の様子を表した模式図です。地球は串刺しされていますが、この直線は自転軸と考えてください。ご存知のように、自転軸が地球の公転面と23.5度ほど傾いているので、四季の移ろいを感じることができるわけです。もちろん、図中の太陽、地球(白丸)、そして月(黄色い丸)の大きさやそれぞれの間の距離は実際のものとは違いますが、その位置どりを示すだけなら問題ないでしょう。
太陽の高度が最も高くなるのが6月ごろです(図の左側)。日本ではこの時期の陽が一番長く(日照時間が長く)なります。お昼ごろに太陽が脳天にギラギラ照りつけるのでイメージしやすいでしょう。6月の図を見ればわかるように、新月の方向が太陽の方向です。ですから、新月は実際には見えませんが、もし見ることができたとしたら、とても高い位置にあることになります。その逆にこの時期の満月は、太陽とは180°反対側に位置していますから、とても低い位置で輝いています。(月は太陽に比べて地味なせいか、あまり月の高さを気にしている人は多くないようです。)この6月の地球と月の位置関係をそのまま3か所にコピーしたものが、9月、12月、そして3月のそれぞれのものとなります。すなわち、9月の下弦(半月)、12月の満月、そして3月の上弦(半月)がまったく同じ位置関係になりますから、この三つに示されているときの月の高さがとても高く、天頂付近に見えるということになります。
ところで、私が見た2月12日はどうでしょうか。2月12日の夜9時、地球と月の位置は12月と3月の間にあり、しかも3月に近いところにあるはずです(図参照)。図中にこのときの月が示されていないのはひとえに私の作図技術の拙さが原因です(笑)。全体の位置関係から、この日の月の高さも高いところにあることが想像できると思います。
今晩も月は高い位置をキープしているはずです。もし晴れていたらご覧になってください。天頂付近にやってくるのは、夜10時半ごろです。寒いから防寒対策をしっかり施してお楽しみください。