No.9 夏休みを迎えるにあたって2022/7/21
【校長からの発信】
No.9 夏休みを迎えるにあたって
2022年7月21日 校長 森田 勉
本日、令和4年度(2022年度)の第1学期終業式を迎えました。大過なく今日この日を迎えられたことをうれしく思っています。これも関係の皆様のご協力の賜物と感謝申し上げます。どうも有り難うございます。
いよいよ明日から41日間の長い夏休みに入ります。以下は、本日の終業式で全校生徒に向けて話した内容の骨子です。ご覧ください。
【終業式式辞骨子】
全校の生徒のみなさん、おはようございます。本日ここに、令和4年度、2022年度第1学期の終業式を迎えました。今年もまた、コロナ感染状況悪化の中ではありますが、ここまで大きな事件や事故もなく今日を迎えられたことをうれしく思います。これは、みなさん一人ひとりが、健全な学校生活の主役は自分たちであるという強い自覚と高い誇りをもって過ごしてくれたことの証であると高く評価しています。そして、同時にしっかりと協力してくれたことに対して感謝の意を表しておきたいと思います。どうも有り難うございます。
さて、今学期はみなさんにとってどんな学期だったでしょうか。私からは、始業式で、人間はなぜ学ばなければならないかを考えること、失敗を恐れず勇気をもって一歩を踏み出すこと、そして強い気持ちをもって目標を設定してそれをやり遂げることなどを今学期のみなさんの課題としてほしいという話をしました。どうでしょうか。これらを意識して過ごすことができたでしょうか。手ごたえを感じているでしょうか。
今学期もいくつか大きな行事がありました。中間テストと期末テストの2回の大きな定期試験がありました。6月の金東先生記念講話では、同窓会長から「人と人との出あい」というテーマでお話しいただきました。そして6月の下旬には、3年ぶりに全校生徒が一堂に会しての体育祭が行われました。日々の学校生活を含めて、みなさん一人ひとりが大きく成長できるチャンスはたくさんありました。いかがでしょうか。しっかりと振り返ってください。そして、振り返りつつ、何がよかったのか不足していたのかをしっかりと考えることが大事です。
また、世の中の動きに目を転じてみましょう。今月の参議院選挙期間中には安倍元総理大臣が凶弾に倒れるといった大きな事件も起きました。犯人はどうやら政治的な目的での犯行ではなかったようですが、選挙の応援演説中に絶対に起こってはいけない事件でした。言論の自由が損なわれるということは大変なことであります。こうした事件を通して、議会制民主主義の大切さとは何か、暴力ではない形での意思表明はどうするかといったことを考えるきっかけにしてほしいと思います。世界では、ロシアのウクライナ軍事侵攻が続いています。戦争状態になると、暴力に対抗して非暴力を貫くことはできなくなります。暴力で対抗せざるを得なくなります。こうしたことが一体何を意味するのか、私たち人類に課せられた大変重い課題であります。こうした世界の中に私たちは生きています。正解のない世界に生きていると言っても良いのです。みなさん一人ひとりに、他人ごとではなく当事者意識をもってこうした問題についてとことん考え抜いてほしいと思っています。
ところで、話は変わりますが、今年は、本校の名前にもなっている岩倉具視が岩倉使節団を率いて欧米諸国を訪問して、ちょうど150年目の節目の年であります。岩倉具視は、150年前の当時、鉄道事業のみならず日本の社会経済の発展を支える人材の必要性を認識していました。本校はそうした岩倉具視の強い思いを受け継ぎ、当時の西洋に追い付き追い越せという気概を持って、世の中を変え得る人材の育成を建学の精神として出発した学校と言えます。これからの世の中は、AIをはじめとした技術革新に伴い混とんとした先行きが見えない社会であると言われています。しかしそうした社会においても、みなさんには「平和で民主的な社会の形成者」になってほしい、つまり、一人ひとりが自分たちの新しい未来を主体的に切り拓いていく存在になってほしい、と願っているわけです。そこで本校では、教育目標を今、「仲間とともに主体的に学ぶ、考える、創造する、そして行動する人物に成長する」としています。そしてこれを岩倉スピリットと称しています。このスピリットを発揮しつつ、未来を担う人材に成長してほしいと願っているのです。いつも言うことですが、みなさんはものすごい潜在能力を持っています。しかし、残念ながらそのことに気づいていない人が多いのです。そのことに気づこうと努めなくてはいけません。
そのために、みなさんはとことん学び、とことん考え続けなくてはいけません。とりわけ、明日からの夏休みは、この考えるといったことができる時間がたくさんできます。この時間を有効活用してほしいと思います。
立命館アジア太平洋大学の出口学長は物事を考える上で大事なことは、「人、本、旅」であると説いています。普段会えない人から学ぶ。日常の忙しさでなかなか手が付けられない読書を通してじっくり考える。そして、思い切って外に出る、すなわち旅から学ぶ。自分の新しい可能性を発見する旅に出るのも良いでしょう。いずれにしても、冒頭にも述べましたが、強い心構えをもって目標設定をして、それをやり遂げる経験を積んでください。
最後になりますが、明日から長い夏休みに入ります。日常とは違う生活になりますので、思わぬ危険に出会うこともあるかと思います。それこそしっかりと考えて、高校生としての分をわきまえて判断して行動するようにしてください。そして、感染症や熱中症対策にも十分に注意して、充実した夏休みを過ごしてください。また一段と大きく成長したみなさんに2学期に会えることを楽しみにしています。以上で、今学期終業式の話を終わりとします。
【保護者の皆様へ】
日頃より本校の教育に対しましてご理解とご協力を賜り、衷心より御礼申し上げます。どうも有り難うございます。
お子様たちが生きていく未来は、本日の終業式でも触れましたように、変化が激しく混とんとして先行き不透明の時代であるとも言われています。こうした時代を生き抜いていく上では、まさに本校の教育目標である「仲間とともに主体的に学ぶ、考える、創造する、そして行動する」力が求められていきます。その力をお子様たちには自ら引き出すように努めてほしいと願っています。そのためには、目標を設定して、実践し、成果と課題を整理して、また次に臨んでいくプロセスをたくさん踏んでいくことだと思っています。こうした習慣は、お子様たちに秘められた無限の可能性を引き出すための基盤になるものと確信しています。
明日から夏休みに入ります。その可能性を引き出し伸ばしていくために、保護者の皆様には、ぜひ、この休みの期間にお子様とのコミュニケーションをはかる時間をつくっていただきたいと存じます。あわせて、お子様たちが規則正しい生活を送り、好ましい習慣が身につくようご指導をよろしくお願い申し上げます。