No.10 第2学期始業式挨拶骨子2022/9/1
【校長からの発信】
No.10 第2学期始業式挨拶骨子
2022年9月1日 校長 森田 勉
本日、2022年度(令和4年度)第2学期始業式を迎えました。41日間の夏休み、みなさんはどのように過ごしたでしょうか。コロナ第七波に襲われていましたので、感染防止と格闘しながらいろいろなことに取り組む苦労を経験したものと思っています。中には、コロナ感染症に罹患してしまい、隔離生活を強いられた人もいるかもしれません。不自由な生活を経験せざるを得なかったという人もいるかもしれません。しかし、そうしたことをひっくるめてすべてがみなさんの成長につながる経験であります。
ものごとをよく考える、熟考できる人は、経験から学ぶことができます。そしてその経験からその意味を抽象化し、それを心にとどめ、次の経験に応用できるのです。まさに、これは本校の教育目標、すなわち“岩倉スピリット”の実践でもあるわけです。みなさんにとって、「経験はすべて成長への糧」であるとしっかり意識してほしいと思っています。
ところで、先週の土曜日は、第1回同窓会ホームカミングディが開催されました。今回は2014年度から2016年度の卒業生を招待し、久しぶりに母校に帰ってきていただき、旧交を温めてもらいました。本校は「開かれた学校」を目指しています。この「開かれた」という点は時間的にも開かれていることを意味しています。すなわち、過去から現在のみなさん、そして未来の生徒に脈々と本校の伝統が受け継がれていくことになります。岩倉具視が150年前に願った、「未来を変えうる人材の育成」といった精神をDNAとして、そして岩倉スピリットとして、本校発展とともに受け継いでいくことになります。生徒のみなさんもその一員です。伝統は継承の上に新しい創造を積み重ねて彩り豊かに発展していくものです。その担い手のひとりであるという強い自覚と高い誇りを持っていきましょう。
さて、今学期は、それぞれの学年の生徒のみなさんにとってとても大切な学期です。3年生は、いよいよ進路を決定づける重要な時期です。2年生は、部活動や諸行事において3年生から大役を引き継いで中心的に担う段階に入っていきます。1年生は高校生活にも慣れ、いよいよ高校生として本領発揮ができる学期です。そして、今月、24日、25には、生徒会・生徒実行委員会主催の最大の学校行事である「岩倉祭」が開かれます。今回のテーマは『不撓不屈』ということです。この言葉は、どんな苦労や困難にも負けず、絶対に屈したり挫けたりしない強靭な精神を意味しています。コロナ禍のもとでの岩倉祭は3年目を迎えますが、まさにこの言葉が示す通り、仲間とともに創意工夫をもって苦境を乗り越え、3年ぶりとなる取り組み(来場者制限の緩和、食品販売などの復活)が実現します。行事は、みなさんが本当に大きく成長できる絶好の機会です。生涯忘れることのない達成感と感動に満ちた文化祭になることを祈っています。
さて、本日の主要なテーマについてお話しておきます。みなさんも聞き及んでいると思いますが、日本の教育は今、変革期を迎えています。学習指導要領が改訂されていることや、「主体的対話的で深い学び」などという言葉も聞いたことがあると思います。これからの時代は、予測困難で、これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こる時代とも言われています。想定外のことが起き板挟みにも遭う時代でもあります。このコロナ禍のことなどは誰も予想できなかったことです。教育界に起きている変革は、こうした時代を乗り切っていくため、仲間とともに主体的に学び続けて解決していく能力が求められているからです。みなさんの授業も講義型から参加型などと変化を感じることもあると思います。その変化は端的に言えば、「指導から支援へのシフトチェンジ」であります。つまり、先生が何でもかんでも教え込んで導くというイメージの強い「指導」から、先生はみなさんの伴走者となり、みなさんが主体的に成長していく姿勢や取り組みをサポートしていく「支援」を重視するということです。
みなさんは、そもそも大きく成長できる潜在能力を有しているのです。そして、それを自ら見出し発展させていくことが求められているのです。したがって、この支援する、サポートすることが実を結ぶには、みなさん自身が、「自分でいろいろなことに積極的に挑戦していき、自分の生き方を築いていくんだという強い意識」、「自分が社会を担っていき、未来を切り開いていくんだという自分に課せられたミッションを自覚し、それに基づき、自分の個性に応じた進路を決めていくんだという強い心構え」が欠かせないのです。さあ、みなさん、今学期を契機として、人生の新しいステップに進みましょう。目標を設定してやり抜いてみましょう。次の段階に移るということは、何らかの挑戦に直面します。その挑戦に怯むことなく、勇気をもって一歩を踏み出す2学期にしてほしいと願っています。みなさんなら必ずできると信じています。頑張ってください。
最後に、一つ紹介しておきたいことがあります。『「岩倉高等学校の精神」を考える』という冊子がこの度完成しました。まさに“岩倉スピリット”を考える内容が書かれている本です。この冊子は、本校の監事で法政大学名誉教授でいらっしゃる柳沼先生によって書かれたものです。先週完成したばかりです。本校の図書室にも置いてありますので、みなさんにもぜひ読んでもらい、本校のことをもっとよく知ってもらい、先ほど述べた自覚と誇りを身につける一助にしてほしいと思っています