No.14 皆既月食と天王星食2022/11/21
【校長からの発信】
No.14 皆既月食と天王星食
2022年11月21日 校長 森田 勉
昨日(11月20日)は日曜日でしたが、学校説明会がありましたので、いつものように電車で学校に向かいました。車内で新聞を読んでいたところ、【教育面】にクイズが載っていました。それは、「『月食』が起こるときに太陽、月、地球が一直線に並ぶ位置関係として正しいのはどれ?」という問題でした。答えには以下の3つ「①太陽、地球、月 ②太陽、月、地球 ③月、太陽、地球」があり、正解を選択する形式でした。高校生のみなさんは、誰もが正解できると思います。もちろん、答えは①です。②は日食のときの並びで、③は絶対に有り得ません。その理由はわかりますね。
11月8日夜、全国で皆既月食を見ることができました。皆既月食については、この『校長発信』で昨年も取り上げました。しかしながら昨年の5月26日に起こった皆既月食は、あいにく都内は曇り空でしたので、雲の合間から部分月食は見えたものの、残念ながら皆既月食を見ることはできませんでした。今回は天候にも恵まれて、見事な皆既月食を見ることができたので、生徒のみなさんも目にした人は多かったと思います。さらに、天王星食も同時に起こることが、数日前からテレビ報道でも何度も伝えられていましたので、話題性にも富んだ天文ショーの晩となりました。
月食は、地球の影に月が入り、月がやや暗くなる現象です。地球から見ると、月が地球の影の形で欠けていく様子がわかります。月全体が影に入ると皆既月食、一部だけ入ると部分月食ということになります。しかし、皆既月食となっても月がまったく見えなくなることはありません。地球の大気の影響で赤銅食の満月が見えるのです。月食は、太陽と地球、そして月が一直線に並ぶとき、すなわち満月のときしか起きないことになります(下図参照)。
図の関係で見ると、満月のときには、いつでも月食が見られそうな気になりますが実際にはそうなりません。なぜならば、月が地球の周りをまわる公転面が、地球が太陽の周りをまわる公転面と5°あまりずれているので、月食のように太陽と地球と月がいつも完全に一直線上に重なるわけではないからです。
今年は天王星が月の影に隠れる天王星食という現象も重なりました。皆既月食と惑星食が同時に見られたのは、なんと442年ぶりのことだったそうです。442年前と言えば、日本は織田信長が天下統一を目指していた時代です。次の機会は、国立天文台によると322年後の2344年の土星食ということです。宇宙の時間スケールは私たちの感覚を越えていますね。星空を眺めながら悠久のときをイメージすると、日常の些細なことにとらわれている自分が小さく見えてしまうのは私だけでしょうか。
ところで、清瀬市に住んでいる私の兄が、今回の天体ショーの写真を撮って送ってきてくれましたので、以下に載せておきます。