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No.18 おおぐまのしっぽ
2023/1/28

【校長からの発信】
No.18  おおぐまのしっぽ


2023年1月28日 校長 森田 勉

 

 今週は10年に一度の最強寒波が襲来しています。本当に寒い毎日です。新型コロナウィルス感染症の都内陽性者数は、徐々に減りつつありますが、その一方で、季節性インフルエンザが流行り始めました。本校では、1年生のあるクラスで7名ほど疑わしい生徒が出ましたので、そのクラスは29日まで学級閉鎖としました。他校でも学級閉鎖のところが増えているようです。古い話で恐縮ですが、私も高校受験直前のこの時期に、高熱が1週間ほど続いて体調を壊した記憶があります。これから受験を控えているみなさんには、とくに体調管理に注意してほしいと思っています。手洗い、うがいを欠かさないように予防に努めてください。
 ところで、27日の金曜日に、PTA役員さん対象の星空観望会を行いました。残念ながらこの日は南岸低気圧の影響で荒天となり、実際の星空を眺めることはできませんでした。そこで、私が準備した内容のプレゼンテーションのみを実施しました。星空観望会を企画するときには、どうしても天気に左右されるので、望遠鏡による星空観望とあわせて、何らかのコンテンツを準備して室内でのプレゼンテーションも行うことにしています。星空案内人の本領発揮というところですね(笑)。今回は、「二重星(にじゅうせい)」をテーマとしたスライドショーを用意しました。
 二重星というのは、地球から見ると文字通り二重に重なって見える星のことです。肉眼では一つの星に見えていても、実際には、二つの星が重なっていることが結構あるのです。しかし、実際に二つの星がお互いの周りを回っている場合もあります。この場合は「連星」と呼んでいます。以下の図を参考にしてください。みなさんもよく知っている星の中にも二重星があるのです。

 北斗七星はご存知でしょう。小さいころに「ひしゃく星」と習って覚えている人も少なくないと思います。この時期は南の空に輝くオリオン座に目を奪われてしまい、あまり北の空を見ないので気がつかないと思いますが、宵の口に地平線から上がり真夜中にかなり高い位置に来ます。春になれば、夜8時ごろに北の空高く、ゆっくりと眺めることができます。
 この北斗七星は、以下の図のようになっています。

 この北斗七星、有名な88星座では「おおぐま座」に属しています。ちょうど、ひしゃくの桶の部分がおおぐまのお尻で、ひしゃくの柄の部分が尻尾(しっぽ)にあたります。
 おおぐま座ですから熊の姿をしている訳ですが、どうもしっくりこない人が多いようです。それもそのはずで、熊にしては尻尾が長すぎるからです。この理由は、ギリシャ神話に答えがあります。大神ゼウスが尻尾をつかんで夜空に放り投げたために、尻尾が伸びてしまったということです(笑)。


 北斗七星は、真ん中の星が3等星とやや暗めですが、あとの6個はみな2等星で明るく、街中での夜空でも目立っているのですぐにわかります。春の星座探しでは、よい目印になる星の並びです。おおぐま座の尻尾にあたることから、北斗七星の桶の端の星から順に「おおぐまのしっぽ」と覚えると良いと思います。先ほどの図中で、お―α星、お―β星、ぐ―γ星、ま―δ星、の―ε星、しっ―ζ星、そして、ぽ―η星というように。この最後から2番目(ひしゃくの柄の部分の端から2番目の星=ζ星)の「しっ」に当たる星に注目してみましょう。この星は「ミザール」という名前です。実は、このミザールが二重星として知られているのです。視力のよい人であれば、ミザールのすぐ脇に暗い星があることがわかります。ふつうは双眼鏡や望遠鏡でないと見えません。この脇の暗い星は「アルコル」と呼ばれています。
 最近知ったことなのですが。奈良県明日香村にあるキトラ古墳の、石室内の天井に星座が描かれています。この古い絵図にある北斗七星にも、小さいアルコルがミザールの横にきちんと描かれていました。昔の人は目がよかったのですね。もちろん空も澄んでいたこともあったと思います。
 勉強しすぎて疲れた目をいやすには星空が利きます。ぜひ晴れた日には夜空を眺めてみてください。

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