No.5 運動部指導者研修2023/5/20
【校長からの発信】
No.5 運動部指導者研修
2023年5月20日 校長 森田 勉
本校のクラブ活動には、13の運動部と15の文化部(うち2つは同好会)があります。このうち運動部の顧問や外部指導者のみなさんを対象に5月17日(水)の15時45分から17時まで「運動部指導者研修」を行いました(【当日の内容】参照)。
今回の研修は、クラブ活動の教育的意義を踏まえた上で、高校生の本分は学習にあることや適度に休養をとることの大切さなどを『ガイドライン』に沿って再確認し、健全なクラブ活動が運営されることを目的として、実施しました。「頭ではわかってはいる」はずですが、改めて関係者の多くが集まり(欠席者は個別に後日確認予定)、改めてその理解を深め、襟を正して指導に臨むことを共有できたことは有意味であったと思っています。なお、文化部については7月の期末試験前ごろに開催を予定しています。
【当日の内容】
(1) 学校長より 学校におけるクラブ活動の意義について
(2) 副校長より 活動の服務について
①生徒への指導の在り方
②保護者との協力体制の構築
③休養日や活動時間の適切な設定
④体罰、不適切な行為の防止
(3) 生徒指導部より 活動の諸注意について
(4) 保健室より 緊急時の対応について ~ IWAKURA SAFETY ~
(5) その他 管理運営(会計管理)について
(6) 質疑応答
本校では2021年度より、「運動部・文化部の活動に関する方針」を発信しています。生徒や保護者のみなさんはすでにご覧になっている方も多いかと思います。そこの「はじめに」でうたっている部分(要約)を以下に記しておきます。本校のクラブ活動の意義についても読み取っていただければ嬉しいです。なお、原文は「である」調で書かれていますが、それだと少し響きが“きつい”と感じられるので、「ですます」調に変えておきます(笑)。
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本校の校訓は、周知のとおり『正心第一』すなわち、「自分の正しい心を培い、自分で判断し行動できる人材を育てる」ことです。言い換えれば、自分で主体的に学び、考え、判断して、仲間とともに協働・創造して行動していく力、すなわち未来社会で欠かせない能力を獲得できるように指導し、人間的に成長させていくことです。本校の教育のあらゆる場を通して、こうした力を発揮できる人物に育てることが、本校の教育目標「仲間とともに、主体的に学び、考え、創造し、そして行動していく力を育てる」を実現することにもなり、またそれが私たち教職員の務めでもあります。
生徒が、ある判断のもとに行動する際には、教科教育を通して得られた正しい知識やアクティブラーニングなどによる発信したり対話したりする経験が必要です。しかし、それだけではすまないのです。知性的・創造的・協働的な行動を通して、正解のない問題に解決策を見出し、また他者の心の痛みを自分のものとして感じ、思いやりの心を育むこと、これらの訓練に適しているのがクラブ活動です。
その活動には、課外活動とはいえ教育的意義が十分にあります。それは生徒が、「やりたくてやっている」感が強いこと、すなわち「うまくなりたい」とか「強くなりたい」といった、生徒本人の向上的な意欲要求が前提にあり、その上で合理的・科学的なプロセスと努力を積み重ねた結果として「上達する」という感覚を体得できること、また、年間幾度かある大会や発表会などを通して、自己評価と社会評価を一致させていく場を経て、精神的な強さを獲得できることなど、未来社会で生き抜いていくための知性的・創造的な行動を経験できる点に教育的意義があります。
さらに加えて、クラブ活動は教室での学習とは異なる側面を持っています。特に学年を超えた生徒同士の交流や協力、協働の場であり、また日常的にそれを追求できる場でもあります。このような集団活動の中で、お互いを見つめ合い、自分自身を見つめ直すことができます。これによって、個人としても集団としても自主性と規律を持った精神を育むことができます。個人の目標と集団の目標との矛盾や葛藤を解決し、自分の努力が仲間に認められ、また仲間のために尽力するといった経験を通じて、相互の信頼やチームワーク、協働的なクラブ運営など、単に理解するだけでは得られない社会性や協働性を直接経験することができます。ここにクラブ活動のもう一つの大きな教育的意義があります。
これら上記の教育的意義を踏まえ、クラブ活動をさらに充実させるために、スポーツ庁や文化庁が相次いで発信した『ガイドライン』の重要性を考慮し、本校のクラブ活動に関しては、その『ガイドライン』の趣旨に沿った方針を提示します。
各クラブの顧問は、この方針を基に本校の教育課程との関連を考慮しながら、合理的かつ効率的・効果的な活動を工夫し、活動日数と活動時間については以下に示す設定を上限として活動計画を作成するよう求めます。また、新たなクラブ活動指導のモデルを創造するポリシーメーカーの意識を持って、計画を作成していただきたいと願っています。これによって、クラブ活動の教育的な価値をさらに高めることができると確信しています。