No.7 対話型人工知能(AI)利用ポリシー2023/6/1
【校長からの発信】
No.7 対話型人工知能(AI)利用ポリシー
2023年6月1日 校長 森田 勉
最近、毎日のように目にしたり耳にしたりしているので関心の高い人も多いのではないかと思います。それは、チャットGPTをはじめとする対話型AIの話題です。先日広島で開催されたG7においてもセッション1で「世界経済と人工知能(AI)などデジタル分野」が議題となりました。
この分野の技術革新は目覚ましく、チャットGPTでは、チャット形式で画面にこちらから質問を入力すると、まるで対話をしているかの如く即座に答えが返ってきます。自分が作成した文書を添削したり、和文英訳したり、非常に便利な機能を備えていますので、すでに生徒のみなさんの中にも活用している人もいることだと思います。
しかし、便利である一方でいくつか懸念されることもあります。そのひとつは、対話型AIは既存のWeb上のデータを学習して、確率に基づいて「もっともらしい回答」を出しているので、対話型AIから出てくる文章の内容は必ずしも正しいとは限らないということです。一見自然できれいな文章で答えられるので、そのまま鵜吞みにして信じてしまうという危うさがあります。また、AIはその精度を上げていくために入力された情報が使われるので、私たちが気づかぬうちに個人のプライバシーにかかわる情報や機密情報を入力してしまい、他人の権利を侵害してしまう可能性もあります。そこで海外では、かなり厳しく規制を設けようとしている動きも見られます。
しかし、このAIが持つ機能はとても便利で優れていますので、「使うな」という形は難しいと思われます。むしろ逆に、きちんとしたポリシーをもって有効活用できるようにすべきものと考えています。そこで本校では、いち早く、以下のように「対話型人工知能(AI)利用ポリシー」を策定して、6月1日付けで発信することにしました。
作成するにあたり、あまり長々と饒舌すぎるものではなく、できるだけわかりやすくコンパクトな形にしました。また、これからのことを考えて、チャットGPTに限定したものではないものにしました。そして、生徒のみなさんが主体であることと私たち教職員の当事者意識とのバランス、そして保護者のみなさんのことも考慮しました。最後に、今後の可変性を考慮して、いつでも見直すという姿勢であることも付け加えています。ご覧ください。
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学校法人明昭学園 岩倉高等学校 対話型人工知能(AI)利用ポリシー
チャットGPT(※)をはじめとする対話型人工知能(AI)は、急激なスピードで社会に普及しつつあり、今後は教育機関でも広く利用されていくことが予想されます。それらが持つ有用かつ迅速な文章作成能力と情報提供能力は、社会の発展に大きな期待が持たれる一方、使い方を誤ると学校の教育活動に大きな支障が生じる可能性も否定できません。
学園においても、教職員や生徒による利用が今後ますます増えてくることが予想されます。不用意な利用が教職員の業務や生徒の成長への悪影響、ひいては法令違反や紛争等に発展することを未然に防ぎ、安心安全な利用に資するため、このポリシーを策定しました。
(※)チャットGPT(Generative Pre-trained Transformer)人工知能(AI)を使った対話型(質問~回答)のチャットサービス。保存されたWeb上の大量なデータをもとに学習する文章・映像等の自動生成モデル。 |
≪私たち(教職員及び生徒・保護者)の5つのポリシー)
1.利用目的、主体的な利用
私たちは、対話型人工知能(AI)から得られる情報が教育活動の補完であることを十分に認識し、自らの成長と教育の適正化のために主体的に利用します。
2.正確性の確認、責任
私たちは、対話型人工知能(AI)から得られた情報の適正な評価と正確な理解・確認に努めるとともに、自らの判断・行動に責任を持ちます。
3.プライバシー等の保護
私たちは、法令違反や不用意な紛争を未然に防止するため、対話型人工知能(AI)の利用に際しては個人情報や業務情報の取り扱いに最大の注意を払います。
4.啓発、共有
教職員及び保護者は、生徒に対し、対話型人工知能(AI)が人間的成長を促すための知恵の一つであることを継続的に啓発・サポートし、生徒も十分にこれを理解します。
5.問題把握、対応
学園は、教職員及び生徒・保護者その他関係者からの利用状況等に関する情報の把握に努め、社会への普及に伴う諸問題に対して必要な措置を講じます。
このポリシーは、必要に応じて適宜改訂します。
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いかがでしょうか。今後は、こういうAIが発展・普及していく未来社会の中で生徒のみなさんがどういう能力を身につけていくべきか、またAIをどのように教育に活かしていくかなど私たち教職員には一層の議論が求められていきます。ちなみに、この『ポリシー』をチャットGPTに添削させたら、「非常によくまとめられています」と褒められました(笑)。