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No.30 終業式式辞
2023/12/23

【校長からの発信】
No.30   終業式式辞


2023年12月23日 校長 森田 勉

 

 いよいよ年の瀬も迫ってきました。12月のことを「師走」と呼ぶことは知っていましたが、違う呼び名もあることを最近学びました。それは、「天晧(てんこう)」というそうです。その意味は「空が明るく清らかであること」です。まさに今朝は、放射冷却が起こって気温がぐんと下がり、この季節ならではの澄んだ空気のもと遠くの景色もよく見えていました。そうした寒い朝、本日終業式を迎えました。以下に、「式辞」を掲載しておきますのでご覧ください。
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 みなさん、おはようございます。本日ここに、令和5年度(2023年度)第2学期の終業式を迎えました。まずは、みなさんとともに、落ち着いた雰囲気の中でこの日を迎えられたことを嬉しく思います。みなさんとともに喜びたいと思います。
 今年は新型コロナウィルスの流行も一段落して、5類へ移行し、体育祭や岩倉祭、そして修学旅行等の学校行事もほぼコロナ前と同様に実施できた1年でした。みなさんもエンジョイできる日々になったのではないでしょうか。しかしそれと同時に、一方で、これまで制約ある中で3年間過ごした後のことですので、平常生活に戻ったことで友人や仲間との“距離感”等で戸惑った人も少なくないものと思います。中には人間関係に摩擦が生じたこともあったかもしれません。しかし、みなさんはそのことに恐れおののきすぎてはいけません。自分と考えが合わず意見の言い合いになって気持ちが高ぶったとしても、人を傷つけることがなかったとしたら、それは大きな成長の証でもあります。
 自分にとって耳の痛いことや思うとおりにいかないことでも、相手に寄り添い、その意図を理解し、共に最適解を見つけて折り合いをつけていくことなどは、これからのリアルな人生において当然のことながら求められていくことになります。楽しいことも苦しいこともしっかりと受け止めて、乗り越えていくように努めていきましょう。もちろん一人きりで乗り越えなくてもよいのです。仲間とともに喜びや苦しみを分かち合っていきましょう。
 
 さて、今日が今年最後の学校生活の一つの締めくくりの日です。「終わり良ければすべて良し」とも言います。しっかりと振り返って、新年の飛躍につなげていってほしいと思っています。
 二つほど、一緒に振り返ってみましょう。一つ目は、みなさん全員に入学時に課している課題、それは「人間はなぜ学ばなければならないか」という問い掛けに対する自分なりの答えを見つけるという課題です。さあ、自分なりの答えを見つけることができましたか? 3年生に残されている時間はそれほど多くありません。卒業のその日まで自問自答し続けてください。1、2年生も油断をしているとあっという間に時間は過ぎるものです。適宜思い出して自分に向き合ってください。それを考える材料はいくらでもあるはずです。
入学時に私が話した、その一つの答えは、「人間の命や尊厳を守るために学んでいる」というものです。現在でもウクライナや中東で紛争が続いています。平和を維持していくためにもしっかりと学んでいく必要があるのです。まだ答えを見つけられていない人は、挑戦し続けてください。既に答えを見出した人は、その答えがこれからの自分の人生においても当てはまることかどうか、吟味してみてください。
 二つ目は、しっかりと目標設定をして、それを粘り強く、多少つまずいても、立ち上がって、あきらめずに日々やり遂げていくための努力を積み重ねていくことを求めました。いかがでしょうか? これができれば、そのことを通して自信や誇りを身につけることができます。このことが、これからの時代を生き抜いていくことを可能にし、自ら幸福感を持てることにつながるのです。さあどうでしょうか? しっかりと自分の胸に手を当てて振り返っておきましょう。この課題についても、引き続きチャレンジしてください。

 ところで、話は変わりますが、今後の日本社会に大きな影響を与えるであろう問題がいくつかあります。それは、➊高齢化と少子化の問題 ➋国際社会の政治的対立 ➌AIをはじめとしたデジタル技術の目覚ましい発展 ➍地球温暖化と自然災害 等々です。
これらに対する具体的解決策や対処の方法はまだ残念ながら確立されていません。したがって、みなさんが活躍する10年先、20年先の未来社会は、先行き不透明で混沌としていると言われているわけです。そうした時代においても、みなさんは、自分自身に自信と誇りを持ち、高いモチベーションを抱き、幸福感も持ちながら学び続けていくことが、求められていきます。
実はこれは、まさに本校の教育目標、つまり岩倉スピリットを実践し続けることにほかならないのです。「仲間とともに主体的に学ぶ、考える、創造する、そして行動する」サイクルを回し続けることです。
 しかし、みなさんも気づいているかもしれませんが、この岩倉スピリットを常に実践することは言葉でいうほど簡単ではありません。人は目標を見つけて生きていくことができれば、主体的に生きていくこともできるわけです。そのためにはどうすればいいか、それには、「何かを変えたい」という願望を持つこと、その願望を具体化するトレーニングをすることです。例えば、落ち着いた時間をつくりたいと願望が湧いたら、今日から三日間だけ10分早く起きて読書にあててみる、といった具体的な目標を立て、実践して少しでも達成感を味わうことです。こうした小さな目標設定と達成感の繰り返しによって目標を自分で見つける経験が蓄積され、主体性が身についていきます。もし、この高校時代に大きな達成感を経験できれば、それは主体的に生きていけるための生涯の宝となります。まずは小さいことからトライしてみましょう。

 明日からの冬休みを、小さな「目標設定」と「達成感」を積み上げる時間にしてほしいと思います。その具体的中身は、それこそ自分でとことん考えて見つけてみましょう。そのことによって、みなさんが希望や生きがいを獲得するきっかけにしてほしいと思います。みなさん一人ひとりが充実した気持ちで新年を迎えることができるように祈っています。みなさんになら必ずできると信じています。がんばってください。
この呼びかけを結びとして、2学期の、今年最後の終業式の式辞とします。

【保護者の皆様へ】
 令和5年も幕を閉じようとしています。皆様にとってどのような一年だったでしょうか。
今年は式辞の中でも触れましたが、コロナ前の状態に戻ることにより、逆に戸惑うことも多々ありましたが、何とか本日、終業式を迎えることができました。これも、保護者の皆様の本校の教育に対するご理解とご協力の賜物でございます。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。どうも有り難うございました。
 明日から冬休みに入ります。年の瀬を迎えて何かとお忙しいとは存じますが、たまには、スマホを脇に置き、お子様とのコミュニケーションをはかる時間をつくっていただければ幸甚です。あわせて、お子様たちが規則正しい生活を送り、清々しい気持ちで新年を迎えることができますようご指導をお願い致します。
 時節柄お身体ご自愛の上、良い年をお迎えください。

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