No.13 第2学期 始業式 式辞2024/9/2
【校長からの発信】
No.13 第2学期 始業式 式辞
2024年9月2日 校長 森田 勉
みなさん、おはようございます。本日ここに令和6年度(2024年度)第2学期の始業式を迎えました。いよいよ長い夏休みが明け、今日から2学期、まだまだ酷暑が続きそうですが、もうすぐ爽やか気候の秋がやってきます。みなさんが最も力を発揮できる学期と言えます。頑張っていきましょう。
ところで、この夏休みをどのように過ごしましたか? それぞれが、目標を立て、それに向けて日々実践し、さまざまな出会いや経験ができたものと思います。小さな達成感を積み重ねて充実した休みを過ごすことができた人、一方逆に、なかなか立てた目標をこなすことができず、なんとなく不完全燃焼の気分で過ごしてしまった人など、いろいろだと思います。しかし、いずれにしてもそれらのどれもが、これからの心構えしだいで貴重な経験だったと言えるようになるのです。1学期の終業式でも話したように、今この瞬間からの未来をどう生きるかによって、その経験の価値が決まってくるからです。つまり、「これから」が「これまで」を決めるということです。だからこそ、しっかりと目標設定をして未来志向でチャレンジし続けていくことが大切なのです。輝ける高校生となるためにも、未来の希望や期待の実現に向けて、そして新たな価値の創造に向けて突き進んでいきましょう。
ところで、今日の始業式は、少し趣向を変えて進めています。私が話している位置も違うので、すでに気づいていると思います。これから「パワーポイントのスライドショー」を用いて話をします。内容は2つあります。1つは、この夏休みに読んだ本のなかから、「我が意を得たり」と思うところをみなさんに披露します。もう1つは、7月~8月にかけて行われた「夏の見学会」のミニ学校説明会で私が外に向けて「教育改革」の話をしたことを、生徒のみなさんにも共有する内容となっています。
(以下、始業式では、スライドを用いて説明した内容の骨子を記しておきます)
1、「日本人の忘れもの」(中西 進)から
中西 進さんは、元号「令和」の考案者と思われている人物で、『万葉集』研究で有名な日本の教育者、文学者です。その人が著した『日本人の忘れ物』で、大事なことだなと共感したところをみなさんにもお話しします。
この本のなかで、最後に「まとめ 四つの提案」が書かれています。それは、
1)帰属意識を持とう 2)本当の大人になろう
3)深くいのちを愛そう 4)自然を尊重しよう
の4つです。どれをとっても含蓄ある内容なのですが、そのなかで、1の「帰属意識を持とう」について、みなさんと共有したいと思います。帰属意識とは、学校のような組織や集団の中で、自分がその一員であることの確固とした自覚を持つことです。「これまで、明治以降、日本の教育は個人の自覚を促してきた。そのおかげで、もう一方の集団の自覚がすっかり忘れられてしまった」と著者は言うのです。みなさんと共有したいのは、みなさんが、岩倉高校という学校の自分がその一人だということを自覚し、自信と誇りをもって学校や仲間を愛しつつ、十分に自己の力を発揮してもらいたい、そして輝き続けてもらいたいと思っています。そうした帰属意識を持ちながら、ものごとすべてに好奇心を持ち、素直に感動し、さまざまな知識を学び体験を積んでいくうちに自分の中に、かけがえのない財産として蓄積され、それを継続することによって、その財産が優れた創造力や行動力に置き換わっていくのです。みなさんの誰もが、それがきる能力を持っています。
2、岩倉高校が「教育改革」を進めていく理由
本校は、あと3年後、2027年に創立130周年を迎えます。その130周年を期して、その目指す学校像は、「未来進化型のコンヴィヴィアル・スクール」です。
教育改革を進める理由は主に2つあります。2つのうちの1つ目は、「人は高校時代の思い出を糧にして生きている」からです。この2度とない“熱い”3年間に、仲間とともに困難を乗り越え、学ぶ喜びを獲得し、さまざまな出会いと経験をし、成長できたという達成感を持つなど、その後の人生の基盤を獲得することができます。生徒のみなさんには、いま自分が通っている高校時代は、輝ける時代であるということをしっかりと認識し、本気になって岩倉スピリットを発揮して学校生活に向き合ってほしいのです。そのことを自覚してもらうことが一番目の理由です。
2つ目の理由は、そもそも本校は、改革する、そうしたDNAを持っているということです。その要因にも2つあります。
1つは、ご存知、岩倉具視です。岩倉具視が「鉄道の重要性」と「未来社会を変えうる人材育成の重要性」を当時の政府に訴え求めた精神(いわば建学の精神)です。それを端的な言葉で言い表せば、洞察力、構想力、そして大胆な行動力です。もう1つは、本校のロケーションです。150年前に欧米各国を訪問した岩倉使節団の「世界を知り、日本らしく進化するための構想を描き、美と伝統、知識と技術の重要性」を体現したのが上野公園であり、そこに隣接した現在の位置に学校があることです。本校がこの地にあるのは偶然ではなく、先の岩倉使節団の遺志を引き継いでいるものと考えています。すなわち、文化と創造の地にある学校であるということです。
みなさんも私も、こうした学校の一員なのです。つまり、変化を恐れずチャレンジ精神を発揮していくことが宿命づけられているということです。これが改革を進めていく大きな第2の理由です。
みなさんは、そもそも物凄い、無限の可能性といってもよい潜在能力を有しています。しかし、そのことにまだまだ気づいていません。そのことに目覚め、引き出し高めていけるためのプログラムをたくさん提供できるようにしたいと考えて、教育改革を推し進めています。みなさんも、受け身ではなく、そうしたプログラム作りに参画して、大きく成長してほしいと願っています。
Be A Rising Star ! いつでも希望の持てる人、いつでも人に希望を与えられる人に成長してください。充実した2学期になることを祈っています。以上です。