No.28 東京都産業教育振興会主催作文コンクール優秀賞受賞作品の紹介2024/12/23
【校長からの発信】
No.28 東京都産業教育振興会主催作文コンクール優秀賞受賞作品の紹介
2024年12月23日 校長 森田 勉
12月20日(金)に東京都産業教育振興会*主催の作文コンクール表彰式が、東京商工会議所にて行われました。本校2年L組の鈴木将一君が優秀賞を受賞しました。今回はその鈴木君の作品を紹介します。
文章も良く書けていますが、鉄道実習を通した実体験に裏打ちされた内容となっているところが素晴らしいと思います。「社員同士のコミュニケーションと一体感」を直に感じ、学び得たものは、今後のさらなる成長の励みとなるものと確信しています。
個人の努力とみんなの協力
2年L組 鈴木 将一
私は、幼い頃から鉄道が好きで、列車に乗って様々な場所へ出かけてきた。その中で、安全第一に努めるという使命を果たしながら、困っている方への配慮や、鉄道ファンの子どもたちに手を振るなどの温かいサービスもこなす鉄道員に憧れを抱いた。
このような経緯から、私は鉄道会社の下で行われる駅員のインターンシップに参加した。先述したように、私は鉄道好きのため、ある程度は駅員について知っていたが、実際は想像以上に大変だった。鉄道関連のアルバイトなどの経験もない私にとって難しく、失敗したこともあった。しかし、実際に失敗しないと実感しにくいようなことも経験し、多くのことを学ぶことができた。
私が今回のインターンシップで学んだことは、大きく二つある。
一つは、鉄道に関わる人々が様々な努力をしていることである。努力といっても様々なものがあるが、私は特に駅員の努力の大切さを知った。今回の体験で最も多く行ったのは、お客様対応だ。お客様から聞かれる内容は、行き先や乗り場、周辺のスポットまで多岐にわたった。しかも、お困りの方の多くが訪日観光客で、それらに英語で対応せねばならなかった。私は、英語で話すことが苦手で、質問に対して英語で答えようと考え込み、お客様を待たせることになってしまった。実習中に、指導者の方から「英語が苦手でも、ジェスチャーなどを用いて相手に伝えようと努力しましょう」とアドバイスをいただいた。このことから、駅員は英語や知識を裏で必死に身に付けているだけでなく、現場でもお客様のために最善を尽くさねばならないと理解した。また、スマートフォンによって便利になった現代においても困っている方が多いことを知った。実習中、私はそのような人を見逃してしまうことがあったが、実際の駅員は、どんな人にも積極的に声かけをし、本当に困ってる人を次々に案内していた。私は、そのような姿を見習おうと思った。これらの訪日観光客を通した経験は、将来空港アクセスを担う某鉄道会社への就職を目指す私にとって重要であり、とても良い経験だった。
もう一つの学んだことは、鉄道が多くの人の協力によって成り立っていることだ。普段「駅員」と一括りにしているが、その中でも様々な業務と役割があり、それら一つ一つに多くの人が関わっていた。実習中に会った人の中には、何か一つの業務に特化した人や運転士と駅員を兼任している人もいて、特徴も多種多様だった。このように自分に合った仕事を選択して、他の仕事をする人とも協力している現場を見てきた。これにより、ますます鉄道業界に興味を持つと同時に、改めてコミュニケーションの重要性を実感した。駅員どうしはもちろん、他の職種の人と会うたび「お疲れ様です」といった挨拶を交わしていて、私も実習中、常に実践した。当たり前のことにように思えるかもしれないが、私にとってこれこそが、企業の一体感を強めている一因だと感じ、社員が互いに協力している証でもあると分かった。
今回の実習で学んだことには、いずれも共通点がある。それは、アドバイスしていただいた内容と、学校で大切だと学んだ内容が直結していることである。学校での英語や言葉、地域についての学習、そして部活において言われてきたコミュニケーションの重要性はどれも私が目指すものに必要なことであった。したがって、私がすべきことは、今の学校生活に全力を尽くし、将来に必要な知識と技能を身に付けることだと思う。特に、上の立場の人から重要な点を教わることは、入社後も研修において多くの内容を学ぶ鉄道業を目指す私にとって、習慣づけるべきことである。だからこそ、私はこれから友達だけでなく、先生ともコミュニケーションを取っていく。このように努力して、私の理想の鉄道員を目指したい。
*東京都産業教育振興会
「産業界、教育界および行政当局が一体となって相互に連絡協調し、東京都における国公私立学校の産業教育の改善進歩をはかり、産業経済の自立発展に寄与することを目的」として、昭和30年に設立されました。毎年この会主催の作文コンクールが行われています。