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No.35   職員研修 振り返り
2025/3/14

【校長からの発信】
No.35    職員研修 振り返り


2025年3月14日 校長 森田 勉

 

 いよいよ年度末が迫ってきました。生徒のみなさんは3学期期末試験を終えて、ほっとしているところでしょうか。3月に入り天気が安定せず、寒暖の差が激しい毎日です。体調に十分に注意して過ごしていきましょう。

 ところで、先月2月19日(水)に職員研修が行われたことは、『校長発信№33』でお伝えしました。その「振り返り」がまとまりましたので、今号で掲載することにいたしました。。 

 今回の研修は、初めて各科ごとの分散形式で行われました。そのことで、密度濃く、自分自身の授業と照らし合わせて学ぶことができ、今後の創意・工夫に活かすヒントを吸収できる機会になったようです。

 職員全体で一堂に会しての研修もテーマによっては有効ですが、教科に関しては今回のような分散形式がより有効のようです。今後、開催時期など運営の仕方を工夫すれば、他教科の見学や相互交流も可能となるでしょう。より良い研修のあり方をめざして検討していきたいと思っています。

 それでは、どうぞご覧ください。なお、読みやすくするために、文体を整えるなど若干の修正を加えていますのでご承知おきください。

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【国語】

 デジタル教科書の活用に関する研修は、講演と教科内協議の2部構成で行われた。第1部では、外部講師がデジタル教科書の機能を紹介し、利点や課題について理解を深めた。また、生徒の学習方法や復習の仕方について質問が出た。 

 第2部の協議では、4つのテーマについて話し合われた。まず、授業での導入については、パソコンの持ち込みによる個人情報漏洩の懸念や、Wi-Fi環境の問題、複数の教科書業者による操作の煩雑さが課題として挙がった。メタモジについて学びたいという声もあった。次に、生徒の言語活動を促すため、授業の前半にプリントを活用し、生徒同士で考える時間を確保する実践例が共有された。黒板との使い分けについては、国語では黒板を使う教員が多いことが分かり、MaxHub(Windows搭載の電子黒板ディスプレイ)の活用方法について情報交換が行われた。最後に、観点別評価については、古典と現代文で異なる評価基準が求められるため、来年度に向け検討が必要であると確認された。

 

【数学・理科(合同)】

  • 数学科

 デジタル教科書には、視覚的に数学の概念を理解しやすい利点がある。特に、グラフの移動や数値の変更による直感的な理解が可能である。一方で、数学的な思考力を養うには、手書きの学習が不可欠であり、デジタルだけでは深い理解に至らない懸念もある。 

 導入に関しては、現在メタモジを活用しているため、抵抗感は少ないが、授業中の集中を妨げる可能性や、紙の方が良いとする意見もあるため、完全移行は難しい。宿題の活用などで便利な機能があれば導入を検討したい。教員が積極的に活用することは良い流れであり、将来的には生徒がデジタル教科書のみで授業を受ける可能性も考えられる。 

 研修を通じて、授業のイメージが具体化し、各社のデジタル教科書の実用性も確認できた。ただし、デジタルは記憶に残りにくいという指摘もあり、紙とデジタルの長所を組み合わせた活用が重要であると感じた。

 

  • 理科

 時間が足りず全体像を把握するのが難しかった。ワークの時間を増やすことで理解が深まりやすくなると考えられる。1社に絞って研修を行うほうが詳細かつ具体的な内容まで求められるが、会社によって扱っている教材がかなり異なることを知り、比較できる点はメリットとして挙げられる。

 なお、年間を通しての研修の回数について見直しをしてほしい。それぞれの研修テーマについては扱うべきだと感じる一方で、回数・頻度について検討をお願いしたい。

 

【英語】

 今回の研修では、AI等のアプリやソフトを利用して、授業に音読などの機会を増やし、スピーキングの機会を増やすアクティビティを教えていただいた。また、スピーキング中心の授業を中心に行い、レッスンのまとめとして生徒にプレゼンテーションまで行う授業展開を見せていただいた。

 そして啓林館出版の望月様からはライティングのアプリの紹介や音読アプリの効果を見させていただいた。本校で音読アプリを導入したいという声があがったので今後導入を検討していきたい。何より、研修を通して授業に対して意識改革ができた。

 今後もAIを用いて、生徒が楽しめる授業を今後展開できるよう、教科会で教員同士意見交換していきたい。

 

【社会】

 授業が講義型に偏りがちであり、グループワークを取り入れたいものの実践には至っていない。他の先生の取り組みを参考にし、具体的な改善策を見出したいと考えている。また、試験の形式についても検討が必要である。知識の詰め込みに偏らず、研究発表やディベートなどを取り入れることで、より深い学びにつなげたい。ただし、教科の特性を考慮しながら実施方法を工夫する必要がある。 

 他の先生方の実践例は刺激的であり、自走する学びを促す仕掛けづくりが課題として浮かび上がった。具体的な教材や方法を検討し、授業にどう落とし込むかを考えたい。 

 研修の運営について言及すると、学年やコースごとの実践報告を取り入れることで、より具体的なイメージを持ちやすくなるのではないかと感じた。他の先生の取り組みを集中的に学べる機会は貴重であり、今後も継続してほしい

 

【保健体育】

 実技研修では、先生方の授業を観察しながら実践を重視することで、有意義な時間を過ごせた。特に岩倉高校の限られた施設内での授業運営について理解を深めることができた。また、今回初めてベースボール型の授業を学び、運動が苦手な生徒でも生涯スポーツを通じて健康を維持・向上できる単元の重要性を認識した。 

 研修を通じて、新しい種目の知識を得ることができた。体育の授業では、基本的なルールを守りつつ、人数や環境に応じて柔軟に展開することが求められる。今後も授業改革のヒントとなる専門家の講義や提案を取り入れたい。また、授業で使用する道具の代替案や作成方法の共有機会があるとよい。研修の開催頻度を増やし、「ニュースポーツの実践例と岩倉高校施設内での活用」をテーマに、フットゴルフやウィッフルボール、ベースボール5などの体験を通じて、限られた施設内で可能なスポーツの探求を続けたい。

 

【運輸】

 今回の見学を通して、500人の人員で24時間勤務の緊張感のある現場を肌で感じることができ、最新の運行システムで管理しながらも、手元に紙のダイヤグラムを置いて運用していることや、一部の線区では、わずか1~2名で運用されていることを知り大変驚いた。改めて日本の鉄道が誇る世界最高水準の技術と、それを支える方々の努力に感銘を受けた。鉄道の最大のサービスは「安全」であり、その実現のために多くの社員が日々緊張感を持って業務にあたっていることを実感することができた。また、本校の卒業生が多く在籍し、活躍している姿を目にして誇らしく感じるとともに、在校生も就職してからは職場にふさわしい人物に成長できると思うと、長い目で見守ることの大切さを感じた。

 JR東日本の職場の雰囲気を感じるだけでなく、在校生への接し方についても考えることができたのが今回の研修の一番の収穫であった。一方で、鉄道会社に求められる人材のレベルが高く、こちらでそれを生徒にどのように伝えるか考えさせられると共に、日々緊張感を持って業務を遂行していることを生徒の日々行動に照らし合わせ、伝えると共に指導に活かす必要性を感じた。

 今後は見聞きした中で、人材として求められているものを生徒に伝えるともに、今後も進路先として想定される場所や旅行関係・ホスピタリティ関連の研修を実施出来ればと考えている。

 

【芸術】(数学・理科の合同研修に参加)

 数研出版さんのように自社で開発しているものは、デジタル教材単体で、教科書を提示、書き込みながらの授業、また別資料の配布や生徒の回答の共有できているため、授業をシンプルに行えると感じた。現在、芸術科では生徒用のデジタル教材を出している会社はないため、本日の研修で見させていただいた機能を学校で利用しているツールで応用していくことしかできないが、授業内のやりやすさだけでなく事後学習のしやすさを心がけて授業を行えるように考えていきたい。

 

【情報・家庭】(数学・理科の合同研修に参加)

 デジタル教科書の本格導入に向け、プラットフォームの共通化とインターネット回線の帯域問題が課題として浮上している。現在、出版会社ごとに異なるプラットフォームが存在し、iPad上での動作確認やサポートがICT担当者の負担となっている。特に、同一教科内で異なる出版社の教科書を使用する場合、複数のプラットフォームに習熟する必要があり、運用の効率化が求められる。プラットフォームの共通化が望ましいが、教科内での合意形成が課題となる。

 

【総括】(取りまとめ役の松本祐也教諭による)

 今回は複数の教科でデジタル教科書の活用についての研修が実施された。主に授業導入のメリットと今後の課題について検討が行われ、デジタル教材は視覚的理解を助ける機能が優れており、自宅学習にも活用できるが、数学的思考力向上には不十分であり、手書きの重要性についても指摘があった。また、黒板との使い分けやプリントを用いた生徒の言語活動の有効性も再認識された。

 教科ごとの協議では、個人情報保護やICT活用の問題、複数教材の扱いなどが課題として挙げられた。国語科では観点別評価についても話し合われ、科目によって異なる基準が必要となるため今後の検討課題とされた。あわせてデジタル教材のプラットフォームが統一されていない点や、インターネット回線の帯域不足も本格導入に向けた大きな課題である。

 なお研修の運営については、複数のゲストによる指導を受ける場合、比較できるメリットはあるが1社に絞った方が理解は深まるという意見もあった。また、研修回数や頻度の見直しを求める声もあり、特に進路指導との両立が課題であるという意見もあった。

 授業改革の面では、AIアプリの活用によるスピーキング活動の増加やプレゼン授業の導入、研究発表やディベート型試験の試行が提案された。一方で、講義型授業に偏る傾向があり、今後はグループワークの充実が求められている。また他の教員の実践例を活用し、具体的な導入方法を検討する必要もある。

 専門教科では運輸科が校外において研修を行った。現場を体感しながら、進路指導に活かす重要性を認識した。今後も鉄道・ホスピタリティ関連の研修継続が望まれる。体育科はニュースポーツに関する研修を行い、新しい知識を得たことは収穫となったが、限られた施設での指導方法が課題としてあげられた。

 全体として、デジタル教材の活用や授業改革への意識は高いが、技術的・運営的な課題が残る。研修の質と回数のバランスを考慮しながら、具体的な導入方法を模索する必要がある。

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