No.5 サッカー部 地区予選記2025/5/7
【校長からの発信】
No.5 サッカー部 地区予選記
2025年5月7日 校長 森田 勉
5月3日(土)、この日サッカー部がインターハイの地区予選決勝戦に臨みました。相手は品川翔栄高校でした。安定した闘いぶりで、7-0の快勝をおさめました。終始押し気味の展開で、相手陣内で闘うことが多く、ディフェンスラインも前を向いてプレイできていて、安心して見ていられました。センターバックに入っていたキャプテンの統率の下、ほとんど大きなピンチらしいピンチはなかった内容でした。昨年3月に人工芝グラウンドがオープンして1年余りしか経っていないにもかかわらず、チームは随分と成長していることが見て取れました。
そのことを感じたのは試合内容だけではありません。挨拶もきちんとしているし、足を痛めていた相手選手に水を分け与えてあげるなどの振る舞いや勝って驕る態度もなく相手をしっかりリスペクトしていて、好ましいスポーツマンシップを感じることができました。出場している選手ばかりでなく、他の部員からもその雰囲気を感じ取ることができました。チームに浸透しているものがきっとあるのだろうと思い、監督である小川和男先生にそれを披露してもらうことにしました。以下は、監督に寄稿していただいた『地区予選記』です。みなさんも、これを読めば、「なるほど」とご納得いただけるものと思います。
地区予選記
監督 小川和男
男子サッカー部インターハイ支部予選(4/27~5/3)結果
1回戦 11-0 vs文教大学付属高等学校
2回戦 3-1 vs都立美原高等学校
決勝戦 7-0 vs品川翔英高等学校 ※都大会出場
都大会出場を決めた試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、ピッチにいた選手たちは近くにいた仲間と控えめにハイタッチをした後、センターサークルへ素早く向かいました。そして、身だしなみを整え、キャプテンを中心に胸を張って整列をしていました。その間、わずか15秒。この何気ない生徒たちの振る舞いに、私は選手たちの大きな成長を感じることができました。
今の3年生が1年生だった頃、私たちの主な練習場は河川敷でした。冬になると河川敷は使えなくなり、フットサル場や校内の小さな中庭で練習する日々が続きました。雨が降れば思うようにボールを蹴ることもできず、限られた時間と環境の中での高校サッカー部としての活動が始まりました。9名の先輩が引退したあと、部員は13名に減り、11名ぎりぎりで試合に臨むこともありました。それでも彼らは、岩倉高校サッカー部の心得「心で勝負」を胸に、「新時代は俺たちが創る」という強い意志を持ち、日々努力を重ねてきました。そして、校訓である「正心第一」を大切にしながら、サッカーを通じて人間としても大きく成長することを意識し、歩み続けてくれました。
そして最高学年として迎えた今大会。新1・2年生も加わり、部員は54名となりました。試合会場は、1年前に完成したばかりの人工芝のホームグラウンド「岩倉高校西東京グラウンド」で行われました。
前日のメンバー発表では、選ばれた1・2年生が「3年生のために」と語り、3年生からは「選ばれなかった仲間や、けがでプレイができない選手の思いも背負う」と語られました。規律がありながらも人に優しく、温かみのある言動が自然と生まれるこの雰囲気は、3年生の人柄と2年間の成長の賜物だと感じています。この経験の中で、「メンバーに選ばれたこと」や「試合に出場できたこと」など、個人の目標に向かって結果を出すことは、今後の人生においても大切な糧になります。
その結果に至るまでに支えてくれた仲間や、関わってくださった方々の存在がなければ、成し得なかったという事実を、決して忘れてはならないことです。また、別の視点で見ると、サッカー部員として活動している生徒一人ひとりが、そこに「存在」してくれているだけで、とてつもなく大きな価値があるということもしっかりと伝え、今後の人生の柱にしてもらいたいと思っています。それと同時に、今回のメンバー発表を通じて、生徒たちが「心で勝負」を体現し、「人にやさしく」という精神を言葉と行動で表してくれたことに、私たちは大きな喜びを感じています。
試合結果については、初戦の文教大学付属高校戦は、野球部やラクロス部が応援に駆けつけてくれたことも、大きな後押しとなり11対0の快勝を収めることができました。続く都立美原高校との2回戦では、先制点を許し苦しい展開になりましたが、途中出場した1年生の勢いにチームが活性化し、逆転勝利を収めました。代表決定戦の品川翔英高校戦では、7対0の完勝でした。どの試合も、内容としては課題が多く残る部分もありましたが、「新時代は俺たちが創る」という信念を持って努力を続けてきた54名の部員全員の思い、そして悔しさをこらえて笑顔で会場運営に取り組んでくれた生徒たちの姿勢が、岩倉高校男子サッカー部の勝負強さの土台となり、今回の良い結果につながったのだと感じています。
今後も、勉強と部活動は一体であり相乗効果をもたらすものという、岩倉高校の「文武非二」という精神を体現し、人としても部としても、多くの人から応援される存在であり続けることを目指し、一歩ずつ確実に前進してまいります。これまで岩倉高校男子サッカー部を築いてこられた諸先輩方の「魂」を継承し、仲間とともに、次の舞台へ挑んでいきます。
今後とも温かいご声援を、どうぞよろしくお願いいたします。