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No.7 「心で勝負」― サッカー部インターハイ都大会より(その2)
2026/5/30

【校長からの発信】
No.7   「心で勝負」― サッカー部インターハイ都大会より(その2) 


2026年5月30日 校長 森田 勉

 

 前号の続きです。「インターハイ予選を終えて」ということで、小川和男監督とトップチーム担当の粟井寛志コーチからメッセージをいただきましたので紹介します。

監督 小川和男
 「まだまだ甘い、甘すぎる。生徒たちが本気で向き合っている分、私自身がもっと成長しなければならない。」 5月17日、インターハイ予選・都大会2回戦、実践学園高校に0−2で敗戦した直後に感じた、私の率直な思いでした。
 昨年10月、新チームが始動しました。全国大会出場という大きな夢を掲げて入学してきた生徒たちが、いよいよ3年生となり、その目標に向かって挑む大きな大会が今回のインターハイ予選でした。新人戦では地区3位という結果を残しましたが、その悔しさを受け止めながら、私たちは「インターハイで勝つために何を積み上げるべきか」を考え続けてきました。
 その中で大切にしてきたのが、「生徒の主体性を引き上げること」でした。生徒たち自身が試合を分析し、課題を整理し、練習内容を考える。そして、ホワイトボードなどを活用しながら、全員が共通理解を持ってトレーニングに臨んできました。また、岩倉高校男子サッカー部としてのプレーの土台をつくるため、「全員で前向きにボールを奪いにいく」ことをベースとした「岩倉プレス」という守備の原則づくりにも取り組んできました。
 それに伴い、私たちコーチングスタッフに求められたのが、「観察力の向上」でした。起きている事象だけを見るのではなく、その結果に至るまでの行動プロセスを把握すること。「なぜその判断をしたのか」「何を考えて行動したのか」という部分まで見ることを大切にしてきました。そして、必要な時に、伝えすぎず、寄り添いすぎず、生徒自身が自分と向き合えるよう、言葉を選びながら関わってきました。
 そんな中、4月には新1年生も加わり、チーム内の競争はさらに激しくなりました。特に3年生は、日々のトレーニングはもちろん、日常生活の部分においても、自分自身をさらに整えようとする姿が多く見られるようになり、自分たちの夢や目標にこれまで以上に本気で向き合うようになったと感じています。
 そして迎えたインターハイ地区予選。昨年度の選手権で地区1回戦敗退を経験した悔しさもあり、生徒たちは一戦一戦の重みを理解しながら大会に入りました。どの試合も簡単なものではありませんでしたが、生徒もコーチングスタッフも、その時点でできる準備を重ねながら、一つひとつ乗り越えていきました。
 その中で、今大会ではメンバー発表の場面にも生徒たちの成長を強く感じました。選ばれなかった悔しさを抱えながらも、なんとか気持ちをコントロールして、悔しさを抱えながらも笑顔をつくり、仲間に前向きな言葉をかける姿。また、選ばれた生徒たちからも、「支えてくれている仲間のために戦う」という言葉が多く聞かれるようになり、生徒たちの“心”がさらに整い、強くなってきていることを実感しました。そこに至るまでには、3年生の覚悟、2年生の地道な努力、1年生の勢いある挑戦がありました。そうした日々の積み重ねが、この空気感を生み出し、学年を越えてチーム全体で大会に向かう力へとつながっていたことは、今回の大きな収穫だったと感じています。
 そのような積み重ねの中で、地区予選、都大会1回戦を突破し、私たちは都大会2回戦で実践学園高校と対戦しました。結果は0対2での敗戦となりましたが、私たちにとって非常に大きな意味を持つ一戦となりました。
 実践学園高校は、技術、判断、強度、そのすべてにおいて東京トップレベルの力を持つチームです。その相手に対し、試合の立ち上がりは思うようにペースを掴めず、本来の岩倉らしい前向きな守備を出しきれない時間帯が続きました。しかし、前半途中からは、これまで積み上げてきた「岩倉プレス」を前面に出して戦いました。もちろん、相手の高い技術に剥がされる場面もありましたが、まったく通用しなかったわけではありません。むしろ、東京トップレベルの相手にも、岩倉のプレッシングが通用する部分は確かにあり、チームとして大きな手応えを得ることができました。

 また、実践学園高校のグラウンドで、都大会二次トーナメント進出をかけて戦えたことにも大きな意味がありました。私自身がお世話になり、そして深町総監督が長い年月をかけて築き上げてきた実践学園の地で、岩倉高校の部員全員が試合前に校歌を歌い、胸を張って勝負に挑んだ姿を見て、心から誇らしく感じました。試合後には、挨拶のためチーム全員で実践学園高校の応援席へ向かいました。敗戦直後とは思えないほど堂々とした姿で、キャプテンの言葉や一人一人の立ち振る舞いからは、サッカーの技術だけではない“心の成長”を強く感じました。自分たちのチームの生徒でありながら誇らしく、同時に、ここまで積み上げてきてくれた全部員への感謝の気持ちで胸が熱くなりました。
 大会を終えて、監督として大きな反省があります。それは、良いものを詰め込みすぎたことで、生徒たちに本当に浸透させるべきことを絞りきれなかったという点です。日々の練習では、「今日のお土産」として、その日に持ち帰るべきテーマを提示してきました。しかし、「岩倉プレス」は、その日だけのテーマではなく、毎日の土台として自然に表現できるレベルまで浸透させなければならないものでした。だからこそ、この大会を通して見えた課題をコーチングスタッフ全員で共有し、日々の振り返りや指導内容を整理しながら、改善につなげられる組織づくりにも、さらに取り組んでいきたいと考えています。
 また、今大会を通して改めて感じたのは、多くの方々に支えられながら、私たちは活動ができているということです。毎試合のように卒業生や卒業生の保護者の方々までもが応援に駆けつけてくださいました。在校生、保護者、学校関係者、コーチングスタッフ、そして今年度から新たに関わってくださっているパートナーの皆様。多くの方々が、目に見えるところでも、見えないところでも、岩倉高校男子サッカー部を支えてくださいました。その存在は、間違いなく生徒たちの大きな力になっていたと感じています。そして、そのような支えの中で戦えたからこそ、岩倉高校男子サッカー部としての誇り、そして岩倉高校そのものの誇りが、少しずつ積み上がってきていることを実感しています。
 あらためて、今回のインターハイ予選は、都大会2回戦敗退という悔しい結果となりました。しかし、その中で生徒たちは、“心”の部分で大きく成長してくれたと感じています。その姿が、岩倉高校男子サッカー部の可能性を強く感じさせてくれました。同時に、私たちコーチングスタッフ自身も、まだまだ大きく成長しなければならないことを強く実感しました。生徒たちの姿から、多くの気づきや学びをもらい、コーチングスタッフとして成長するきっかけを与えてもらったことに感謝しています。勝つことだけではなく、人として成長し、多くの方々に応援される存在であり続けること。その積み重ねの先に、本当の強さがあると信じています。そうした積み重ねの中で、今年度の学校のテーマである「ともに進み、ともに育つ」という言葉を、日々の部活動の中で具体的に形にしていくことが、これからの岩倉高校男子サッカー部にとって大切なことだと感じています。
 「日本一入りたくなるサッカー部へ」 この言葉を胸に、選手権、リーグ戦、そしてその先にある夢へ向かって、岩倉高校男子サッカー部は、これからも一歩ずつ前へ進んでいきます。今後とも温かいご声援を、どうぞよろしくお願いいたします。


粟井寛志コーチ
 トップチームは、岩倉高校男子サッカー部を代表して、インターハイ予選を戦ってきました。今シーズンの立ち上げ当初から、攻撃で大切にしたいことを整理しながら「全員で前向きにボールを奪いにいく」という岩倉高校の守備のベースを追求し、日々トレーニングに取り組んできました。しかし、シーズン序盤は思うように結果が出ず、リーグ戦でも悔しい敗戦を経験しました。その中でも、チームとしての方向性を少しずつ整理しながら共有し、インターハイ予選へ向かっていきました。
 一方で、生徒たち自身が主体的に目標を掴みにいこうとする“熱”という部分では、まだ物足りなさを感じる時期でもありました。そのような中、インターハイ予選では個人守備とグループ守備を重点的に強化し、地区予選を無失点で突破することができました。そして、都大会1回戦をPK戦の末に勝ち切り、チームとして目標にしていた二次トーナメント決定戦へ進出すると、3年生を中心に「勝ちたい」「目標を達成したい」という思いが強く前面に出るようになりました。それに伴い、トレーニングの雰囲気や取り組む姿勢にも変化が見られるようになったと感じています。

 決定戦に向けては、チームとしての方向性をさらに揃えるため、1週間を通して何度も試合のシミュレーションを重ねながら準備を進めてきました。結果は0−2での敗戦。悔しい結果ではありましたが、自分たちにも通用する部分があるという自信を得ると同時に、強豪校との差を痛感する試合にもなりました。現在、チームは次なる目標へ向けて再スタートを切っています。インターハイ予選を通して、チームとしてやるべきことに全力で向き合い、積み上げてきたものを、次へつなげていきたいと思います。 
特に生徒たちに伝えているのは「勝っても負けても、その試合を必ず次につなげること」、そして「次につながるような振る舞いをすること」です。先日の敗戦を受け、強豪校との差を埋めるために、練習の雰囲気や日々の姿勢といった足元の部分から改めて見直しています。残りのリーグ戦を全勝で終え、選手権で結果を残せるよう、チーム一丸となって全力で取り組んでまいります。

「ともに進み、ともに育つ」。
 今年度、本校が掲げているこのテーマは、まさに今回のサッカー部の姿そのものだったように思います。
 選手も、指導者も、支える人々も、ともに成長していく―。その歩みを、これからも大切にしてほしいと願っています。

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