No.8 「ビジネス最前線」2019/2/1
【校長からの発信】
No.8 「ビジネス最前線」
2019年2月1日 校長 浅井 千英
前回、Google, Apple, Facebook, Amazonが世界の情報網とビジネスに多大な影響力を持っていることお伝えしました。しかし、最近、個人情報や行動履歴の管理などの問題によりこの流れにも変調の兆しが見えています。
日本は長期低迷に喘いだ平成時代に区切りをつけ、反転攻勢していくことが必要です。カギはGAFAの支配が及ばないような新産業を生み出すスタートアップ(ネットとリアルにまたがる新興企業群等)の創出です。飛躍のチャンスはまさにここにあります。
現実社会では百貨店の不振が続き、スーパー、コンビニもそろそろ限界が見えています。少子高齢化、景気低迷、価値観の多様化により、消費者は適正な価格で、多品種、少量の購入を志向しています。このような状況にも関わらず、販売店(百貨店等)は一般消費者にはとても手の届かない高価なブランド品を店頭に並べ、スーパーは一般家庭では消費できないほどの大量の生鮮食料品のパッケージや高級食材を商品棚に並べています。これでは消費低迷も当然です。
スーパー・コンビニの出現により、魚・肉・野菜など生鮮食料のばら売りをする販売店が激減し、スーパーでも生鮮食料品を適切に販売できる専門家が少なくなっています。またインターネットの出現により、書籍、靴、その他日用雑貨の専門店も激減、ジャンクフード以外の大衆向けの良質な外食産業も低迷しています。店の維持、販売員のコストを考えるとやむを得ないことなのかもしれませんが、良質な商品を直接見たり、手に取ったりすることも消費者の購買意欲を刺激する重要な機会です。
インターネットを使った新しいビジネスが生まれています。ネット通販はいうまでもなく、最近ではネットを利用して所有経済から共有経済へ、例えば配車サービスのUber、 民泊のAirbnbは有名ですが、中古車・日用品の国際物流会社ビイ・フォアード、シェアオフィスのWeWork、ビジネス用チャットツールのSlack Technologies、プロトタイプ作成をウェブ上で共同作業するInVision、知識を共有し共同編集するプラットフォームGitHub、特定のスキルを持つ人が講師登録し料金を設定、その講座にユーザーが受講料を払って視聴するオンライン学習サイトUdemy、国際送金を手がけるTransferWise、店舗を持たず銀行免許を取得したMonzo、Revolutなど。GAFAのビジネスが主に企業向けビジネスを目標にしている一方で、上記の新しいサービスは主に個人、および中小企業向けに特化したビジネスが多くなっています。これらには家庭向けのロボット、実店舗と産地直送などの物流の組み合わせ、ショールームで販売契約し、倉庫から消費者に配送するサービス、自動運転用の地図を作成販売するサービス、独自開発した診察デバイスによりオンライン診療、その他ネットとリアルの融合によりいろいろなサービスが立ち上がっています。
大手企業がいくら努力しても、既存の延長線上で企画しても、画期的なイノベーションは起きないと言われています(イノベーションのジレンマ–Harvard Business School Press 邦訳あり)。新しいアイデアをビジネス化するスタートアップスが必要なのです。
岩倉高等学校の生徒諸君
岩倉高校での3年間で、チャレンジ気質を育て上げ、大きく羽ばたいていきましょう。