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No.12 「VUCAの時代」
2019/6/3

【校長からの発信】
 No.12 「VUCAの時代


2019年6月3日 校長 浅井 千英

 

近年就職してから、3〜4年で離職する人の割合が高まっていて、4大卒で30%、高卒で40%だそうです。この現象はある種のギャップが拡大していることが原因だと言われています。

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなぎ合わせた言葉で、学生がこれまで育ってきた環境と新社会人として生きる環境(VUCA)には大きなギャップがあると言われています。

一つ目のギャップは正解の無い問題、ビジネスはより複雑になり、誰も答えを知らない、誰も経験したことがない問題が増え、上司ですら正しいと言えない分かれ道が多く存在します。一方で新入社員は学生時代に答えのない問題に出会った経験が圧倒的に少ないことです。

二つ目のギャップは支援の有無、2010年代に始まった全国的な人手不足などによりビジネスの現場に余力がなくなり、OJT(On-the-job-training)で後輩を育成することが難しくなってきた。一方、学生は昨今の激しい学校間の競争の結果、学校での過保護とも言える進学・就職支援を経験していて、この環境から、急に誰も助けてくれない世界に飛び込むことになります。

これら以外にも埋めなければならないギャップは色々と存在します。社会人としての行動規範・倫理を学んだところで埋まるものではありません。

ではどうすべきか。PDCA(Plan-do-check-act)のサイクルを回すということを聞いたことがあると思いますが、まず、命じられた仕事について相手の期待や仕事の目的を理解し、具体化する、進め方や報告のタイミングを確認しておく。自分の想像で目的を決めるのではなく、理解、具体化、確認のフローを進めること。 次いで思い切って行動に移す。できることや、更なる工夫をしながら、試行錯誤し経過報告や上司・周囲に相談しながらとにかく行動する。そして行動によって得た体験を次に活かす。なぜ成功・失敗したかその要因を明らかにするとともにフィードバックを行い、指摘された点を次回の仕事に活かすことが重要です。

 

追伸

前回AIについて書きました。すでにGAFAを始め中国でも国家単位で大量のデータが蓄積されています。AIは単なる計算機とも言えますが、その演算能力は驚異的です。

現在、人が行なっている仕事の50〜60%は遠くない将来、AIが行うようになると言われています。すでに様々な分野で人手では処理が困難な大量のデータ処理、特徴を抽出して人間の判断を支援しています。例えば画像から特定の人物を抽出する、医療で病変の抽出することで人手による作業を強力に支援して診断の信頼性雨を高めています。では人間に残された仕事は何でしょうか?

例えば入力されるデータに何かのバイアスがかかっていないか(人為的な偏りがないか)、紛らわしいデータが混入していないかの確認が必要になります。

またAIでは扱えない人間的で複雑な問題、アナロジー(類推・比喩)は扱えません。また、データの背景にある見えない前提や、データから洞察、観察や、多面的思考、抽象化や法則化など、AIを効果的に使うための倫理的な問題を含めて膨大な人的な支援を必要とします。

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