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No.16 「後期を迎えて」
2019/10/8

【校長からの発信】
No.16「後期を迎えて」


2019年10月8日 校長 浅井 千英

 

2019年度も半分過ぎてしまいました。最近は朝晩ようやく秋らしい気温になってきましたが、日中はまだ30度近くの日もまだあるようです。油断しないでください。最近、年間を通じて天気が不安定になっているようです。地球全体の平均気温が上がり、氷河や、南極・北極の氷が溶けることが多くなり、海水面の上昇が危惧されています。他方、局地的な豪雨や竜巻・旱魃が頻発しています。海水温度の上昇や、海水中の二酸化炭素含有率の増加は、海洋のエコシステムにも影響しているようです。海水温度の上昇は水分の蒸発を促し、降雨量が増え、植物・動物の生態系に好ましい環境を実現するとの説もありますが、降雨は地域的に偏在し、最も降雨を必要とする農耕地や熱帯雨林地域にはあまり恩恵をもたらしていないようです。

理系へ進学する場合、熱力学を学ぶこともあると思います。熱力学の第二法則でエントロピーは増大する一方であるということを学ぶと思います。エネルギーの流れには一定の法則があり、簡単に表現するとエネルギーは高い方から低い方に流れ、熱エネルギーへの変換は不可逆である。というものです。熱エネルギーを100%他のエネルギーに変換することはできないということです。効率100%の原動機が存在しえないのはこの理由によるものです。過去100年間人類のエネルギー消費は飛躍的に増大し、蓄積された熱エネルギーは膨大になっています。たとえクーラーで冷やしても冷やすために発生する熱エネルギーは冷えることで低下したエネルギーをはるかに上回る熱エネルギーの発生を伴います。もう少し違った見方をすると、君の部屋があまりにも汚れたので整理整頓する場合、汚れは自然発生的に消費されたエネルギーの結果であり、これを綺麗にするには“自然発生的に消費されたエネルギーを上回るエネルギーを使って整理整頓することになります。このようにしてエントロピーは不可逆的に増え続けるのです。一方でエネルギー不変の法則により地球上のエネルギーは熱エネルギーとして蓄積され、熱以外のエネルギー源が枯渇して行きます。熱エネルギーは大気中から徐々に宇宙に発散され、地球のエネルギーは縮小して行きます。

最近話題になっているブラックホールはその強力な引力により引力圏にあるものを飲み込んでゆきます。ブラックホールについてはその全容は解明されていませんが、最近の仮説によれば、ブラックホール自体も超長期間(数千億年?)をかけてエネルギーを放出して消滅していくとも言われているようです。宇宙はBig Bangの時ほどではないけれども膨張を続けています。最近、宇宙の膨張はブラックホールやブラックエネルギーにより将来も膨張を続けるだろうと言われています。

一見とりつきにくいPhysics(物理学)ですが、角度を変えて一つの物語として調べてみるととても興味深い重要な分野です。もちろん、文学をはじめとするLiberal Artsも大変興味深い分野で、人類発展には不可欠です。みなさんにはどの分野でもよいので、少しだけでも掘り下げて興味をもっていただきたいとおもっています。

 

 

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