No.23「ニューノーマルの時代を生きる」2020/7/1
【校長からの発信】
No.23「ニューノーマルの時代を生きる」
2020年7月1日 校長 浅井 千英
コロナウィルスの感染を抑制するための外出自粛は解禁されましたが、首都圏、特に東京では検査体制が整ったこともあるけれども、発表される新たな感染者数は解禁直後より増えています。対話をするときは必ずマスクをつけて、声量を抑えるようお互いに気をつけましょう。閉鎖された空間で飲食しながら対話することは避けるように心がけましょう。対策委員会からの(注意喚起のお願い)を参照してください。
世界的にはコロナウィルス感染はまだその猛威を発揮しています。日本もまだまだ油断できません。
世界の人口が増え続け、資源・エネルギーの消費も増え続け、環境負荷の増大により、地球温暖化に歯止めがかかりません。北極・南極の温度が上がり、また熱帯雨林が破壊されると、そこに閉じ込められていたウィルスが拡散され、移動・輸送手段の発達により急速に全世界に広まっていきます。今回のコロナウィルスだけでなく、近年の異常気象で北極やその近くのツンドラ地帯では永久凍土が溶け、数百年前に炭疽病で死亡して、永久凍土内に埋もれていた炭疽病で死亡したトナカイの炭疽菌が活性化してトナカイが大量に死亡、人に感染して死者も出ているようです。また凍土の消失でその上に建築されていた家屋が倒壊する災害が生じています。
今後、上述のような環境破壊により、従来では想像できなかったようなウィルスが拡散され、新たな災害がもたらされます。人類は未知のウィルスを含めその感染症と共生していかなければならないのです。また、これ以上の環境破壊を回避することは喫緊の課題です。このためには、我々が従来当たり前だと思っていた生活習慣を見直す必要があります。基本は無駄なエネルギーの消費を避けることですが、最も典型的な無駄は乱開発・地域紛争・兵器開発などで、これらを抑制することが重要で、また、防災・防疫・予防医療を充実することも大変重要です。
自然災害は避けられないものではありますが、我々人類の想像力やコンピュータシミュレーションにより災害を最小限に止めることは可能ですし、複数の自然災害と人災が同時多発することも考えて対策しておく必要があります。洪水や旱魃に伴う疫病の蔓延、地震や津波に伴うガス・水道・電力の供給停止・道路・その他の社会インフラの損壊、衛生環境の劣化をどう防ぐかできるだけ具体的な計画を立てておくことはとても重要です。
ニューノーマルとはどのように働き、どのような社会生活していくべきか、を考え直すことです。現状を追認することではなく、現状は現実として受け止めた上で、どこをどのように改めるべきか、論理的に考え、創造的・批判的な視点を忘れずに、考えてください。今なぜ日本が停滞しているのか、海外ではスタートアップ企業で創業10年以内に評価額が10億ドルを上回るユニコーンと呼ばれる企業群が社会を牽引しているのに比べ、日本では1970年代以降依然として重厚長大な大企業が残っていて新陳代謝が行われていないことが気になります。この点から日本の実業界は変革を迫られています。この辺の問題意識を忘れずにいてください。大学も企業や研究所と提携してスタートアップ企業を育成することに力を注いでいます。イノベーションは長年にわたり業界をリードしてきたような企業よりスタートアップから生まれやすいと言われています。理由は明らかで、前者では過去の成功体験と現状の価値観に囚われてしまうのに対して、スタートアップではそうした現状維持などに囚われずイノベーションに取り組めます。大企業ではイノベーティブな発想は従来の価値観と相容れないなどの理由で潰されることがほとんどです。
コロナ感染拡大の結果、三密を回避する習慣ができたことは重要で、今後新たな感染症が流行し始めたとき、3密に限らず今回の経験を活かすことは重要です。体調の悪いときは躊躇なく申し出て、保健室等の専門家の指導を仰いでください。
私たちは日常生活の場面場面で、今この瞬間に考えられる災害が起こったら、どのように対応するかを考える習慣を付けるように心掛けておきましょう。登校できない時でもオンライン授業などにより自発的に人間力を向上させる努力を怠らないでください。