No.15 衆議院選挙公示2021/10/21
【校長からの発信】
No.15 衆議院選挙公示
2021年10月21日 校長 森田 勉
今週に入って急に朝晩の気温が下がってきました。11月中旬並みだそうですから、みなさんにはどうぞお身体に注意してお過ごしいただきたいと思います。
ところで、今週火曜日の10月19日には衆議院選挙が公示されました。本校の3年生の中にも選挙権をもっている生徒がいると思います。各政党や候補がどのような公約を掲げているかをよく見極めて、しっかり考えて、そして“清き一票”を投じてほしいと願っています。自分の生活や将来がかかっているといった意識をもって真摯な態度で選挙に臨む姿勢が大切なことだと思います。一番いけないのは、「どうせ自分の一票なんて取るに足らないから投票しても無駄だ」といった態度です。こうした態度のあらわれが若者の投票率低下につながっているとしたら悲しいことです。数十年後を左右する政策はまさに現在の高校生が中心となって生きていく時代・世界のことに関わっています。なかでも環境問題やエネルギー問題に無関心でいることはできないと思います。自分たちの未来は自分たちで切り開いていくといった行動力を持って臨みましょう。
ところで、環境問題と言えば、今月31日から11月12日まで、スコットランドのグラスゴーで国連気候変動枠組条約第26 回締約国会議(COP26)が開催されます。その予習的な準備サミット「プレCop」が、2021年9月30日から10月2日まで、イタリアのミラノで開催されました。こうしたサミットで取り上げられる環境問題、とりわけ脱炭素化の問題は、現在、多くの国が取り組むべき最優先課題となっていることは、「SDGs」を総合学習している生徒のみなさんは知っていることだと思います。
加えて今月12日には、世界保健機関WHOが、「気候変動と健康に関するWHO COP26特別報告書」を発表しました。この報告書では、「化石燃料の燃焼が私たちを殺している。気候変動は、人類が直面する唯一最大の健康上の脅威である」と警告されています。今や“CO2ゼロエミッション”は待ったなしの課題と言えます。
こうした危機感を生んだ要因の一つに、ある少女の活動があったとことはよく知られています。その少女とはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんのことです。彼女は、2019年9月23日ニューヨークの国連気候行動サミットで、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責したスピーチを行いました。当時、弱冠16歳でした。このスピーチを含め、彼女の発信力によって、賛同した人々がどんどん増え、世界各地で開かれた「グローバル気候マーチ」には何百万人もの人たちが参加して、温暖化対策の取り組みの遅れに対する抗議は、大きなうねりとなったというわけです。
グレタ・トゥーンベリさんは、先述した今年の「プレCop」のシンポジウムにおいても、世界の指導者に向けて痛烈な内容のスピーチを行ったことは、最近ニュースになりましたので、知っている人も多いことでしょう。現在彼女は18歳になりましたが、2019年当時は16歳。16歳という年齢ということは、高校1,2年生の生徒達と同年代ということになります。彼女の発信力を見てどう思うでしょうか? 実は、岩倉高校の生徒のみなさんにもこうした能力が備わっているはずです。そのことに気づいていないだけだと思います。
1989年に国連で制定(日本はその5年後に批准)された「子どもの権利条約」にも「意見を表明できる権利」がうたわれています。高校生段階では、この意見を表明していく力、つまり「発信力」を獲得していけるようにしていく、ということが、とても大切なことです。そのことは、岩倉スピリットの実践でもあります。現在、環境問題を介して、若者が政治に声を上げる活動が活発化し始めています。その活動では選挙権がない若者の政治参加も呼びかけています。今回の衆議院選挙を通して、自分には何ができるか、自分はどう考えるか、主体的に学んで考える絶好の機会にしてほしいと願っています。