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No.18 高校野球観戦記 ― 勝っても負けても ―
2023/7/29

【校長からの発信】
No.18   高校野球観戦記   ―  勝っても負けても  ―


2023年7月29日 校長 森田 勉

 

 今年は何度も高校野球の応援に出かけることができました。春季大会の2試合を江戸川区球場で観戦したのを皮切りに、夏は昨日の準決勝戦を含む3試合を観戦できました。昨年までコロナ禍の影響でなかなか思うように応援できなかったこともあったので、思い切りスポーツ観戦を楽しみたいな、という思いが強くあるからということもあるでしょう。目をつぶると、本校の応援歌や応援団の元気なかけ声と歓声がこだまします。

 夏の大会は、7月19日の対桜修館高校戦から応援に出かけました。太田スタジアムでの試合は6回コールド勝ち(10-0)でした。いよいよ21日は強豪校の帝京高校戦です。春の東京都覇者です。場所は球児のあこがれ、神宮球場です。朝9時プレーボールということで8時過ぎに球場に駆けつけたところ、野球部の保護者のみなさんがすでに大勢集まっていらっしゃいました。お子さんたちの健闘を祈る思いで、応援に来てくださるみなさんへ飲み物や応援うちわ等を配って、バックアップしてくれています。ほどなく吹奏楽部の生徒たちもやってきました。選手たちはたくさんの応援をもらって試合ができる幸せを思う存分噛み締めて、思い切り闘ってほしいと思いました。

 試合は、岩倉高校のペース。着実に3回まで毎回1点ずつ積み重ね、さらに6回に2点を追加。対する帝京高校も6回裏に3点を返す。しかし、8回表に堀田君がソロホームランで追加点。帝京高校が粘りを見せるも2点どまりで、岩倉高校が6-5で勝利。本当に素晴らしい闘いでした。どちらも直向きさを感じる好プレーが多々ありました。これぞ高校野球という試合でした。

 25日は、準々決勝戦の対修徳高校戦でした。非常に暑い(熱い、笑)闘いでした。1回の表裏で1点ずつ取り合い、どちらも譲りません。僅差の試合が予想される中、岩倉高校が中盤に加点し、3-1となった8回、連打が続き、なんと5得点。8-1でコールド勝ちをおさめました。点差ほどの差はなかったと思いますが、岩倉高校は毎回安打したところを見ると打線が好調なのでしょう。試合後に、勝利の栄誉をたたえての校歌演奏が場内に流れました。感動しました。負けた修徳高校の選手たちも整列して見守っている姿を見て、これが高校野球の良いところだなと思いました。修徳ナインも、捲土重来を期していることでしょう。岩倉ナインもこれに浮足立つことなく、次も大事に闘ってほしいと思いました。

 28日は神宮で9時から準決勝の対共栄学園高校戦でした。「勝負は下駄を履くまでわからない」 まさにこの言葉がぴったりと言える試合でした。あと一歩で決勝に行けるところまで迫りましたが、岩倉高校に勝利の女神は微笑みませんでした。最後は4-5で悔しい敗戦。

試合終了の瞬間、三塁側の共栄高校のスタンドは感激の坩堝と化し、一塁側の我が岩倉高校陣は奈落の底に突き落とされたかのようでした。勝負に喜びと悲しみは付きものですが、天国と地獄、明と暗がこれほどはっきりと表れた試合も珍しいでしょう。トーナメント戦の宿命で、一回きりの真剣勝負、しかも最後に「内野フライの落球(記録は内野安打)」で終わる展開では致し方ないことです。試合に負けるということは本当に悔しいことです。だからこそ勝負は勝たなくてはいけないと言いますか、もう少し厳密に言えば、勝つために不断の努力を積み重ね、真剣勝負に全身全霊で打ち込まなければならないということでしょう。そうでないと、試合から学ぶものはないからです。そしてそういった直向き(ひたむき)な姿勢が見る者の感動を呼ぶのだと思います。この試合が劇的な終わり方をしたのも、両チームの選手が一生懸命にこの試合に魂を込めて闘ったからにほかなりません。

 ピッチャーの大野君は良く投げました。終了後に両ナインが整列したときには、悔しさを超えた晴れやかな顔をしていたので嬉しくなりました。最後のプレーで捕球できなかった選手はとても悔しい思いをしているでしょうが、これもこれからの人生を生き抜く糧にしてほしいと願っています。彼を責める人は誰もいません。これまで、チームの勝利にたくさんの貢献をしてきてくれたことをみんなが知っているからです。

 今朝の読売新聞に大野君の試合後の談話が載っていました。

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「逃げたり、刃向かったりする度に色々な人に助けてもらった。自分の人生で大切な時間になった」と振り返り、笑って、こう付け加えた。「野球って、楽しいですね」

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 高校野球は、勝っても負けても、清々しさが満ち溢れていて素晴らしいですね。これからも応援していきたいと思います。たくさんの感動と勇気をもらえて幸せな野球応援でした。この場で感謝の気持ちを伝えておきます。どうも有り難うございます。

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