No.21 西東京で授業見学2024/10/15
【校長からの発信】
No.21 西東京で授業見学
2024年10月15日 校長 森田 勉
先週の10月11日(金)は、久しぶりの秋晴れで気持ち良い1日となりました。今回は、この日、西東京にスポーツクラスの体育の授業を中心に見学・視察してきましたので、その報告です。
2年生は2時間続きの授業の2時間目、1年生は3時間目の授業で、どちらも内容は「ラクロス」の試合をメインとするものでした。スポーツクラスの生徒たちですから、そもそも「スポーツしたい」という意欲・要求を持っているわけです。すべての生徒が嬉々とした表情で試合に臨んでいました。
しかし、幼いころから野球やサッカーには接していたでしょうけれど、ラクロスは未経験の生徒たちばかりです。「クロス」と呼ばれる棒の先にネットのついたスティックを持ちながら走り、なおかつゴム製のゴールをクロスで扱うことに、悪戦苦闘している生徒が多かったようです。バットで打つことに慣れている野球部の選手も、蹴ることに慣れているサッカー部の選手も、クロスでボールをいったんネットにおさめながら次の動作に移るため、その独特のリズム感の違いに戸惑っている様子でした。しかし、時間が経過するにつれて、グラウンド上のボールを取り合う姿は、まさにラクロスの試合、という様相を呈してきて観ているほうも面白さを感じることができました。
開始前には、担当の小川先生から、試合に臨むにあたって「身につけた技能を活かした攻防を展開すること」という目当てが示されました。試合中にはレフリーを務めた小川先生から、目当てを踏まえたルールや技術面・戦術面での適切なアドバイスがタイミングよくあり、生徒たちは楽しみながら学んでいくことができていました。試合終了後、整理体操とミーティングをチームごとに行い、ゲームの振り返りを自分たちで行っていました。これも大事なことで、創意工夫が感じられる授業プログラムでした。
この授業終了後、1年生と2年生のそれぞれのクラスにおいて、校長講話を依頼されたので、以下のような話をしました。
2学年に共通して話したことは「集中する」ことの大切さについてと「緊張感のなかで楽しめるマインド」についてです。
前者については、私の高校時代の経験を披露しました。私は高校時代サッカー部員でした。授業時間はせいぜい50分間、その間を集中できれば、試合中に集中力を絶やすことはないと考えて毎時間の授業に臨んでいました。つまり、部活動も学習も自己を高めるための大切なものであるという心構えだったという話です—結果として、成績も上がりました(笑)。このことは、本学園の功労者である金東先生の「文武非二」の言葉にも通じることだと思われます。
後者については、難関企業の就職採用試験を突破した4人の3年生の話を引き合いに出しました。彼らは、異口同音に面接試験という張り詰めた緊張感のなかでも「楽しむ」ことができたとのことでした。なかには“圧迫面接”と思われることもあったが、それでも楽しめたというのです。これこそ、真のコンヴィヴィアルな境地です。本校が目指しているコンヴィヴィアルとは、表面的な楽しさで満足するものではなく、共に成長し、新たな価値を創造していくものだからです。そこで、スポーツクラスの生徒たちには次の課題を出しておきました。
「非常に重要な試合に臨み、ものすごい緊張感のなかで、楽しみながら力を発揮するためにはどうすればよいか。チームレベルと個人レベルのそれぞれのケースについて考えること」というものです。さあ、この『校長発信』を読んでいるみなさんは、どう考えますか? 試合の場面を、入りたい大学の入学試験や大観衆の前での重要な発表会に置き換えて考えてみてください。
ところで、私の講話は、いわゆる旧来型の「教師主導知識伝達型」の形態で行いました。2年生のクラスでは、最後の方、少し眠くなってしまった生徒もいたようです。私も、創意工夫を怠ってはいけないなと、肝に銘じました(苦笑)。