No.6 「心で勝負」― サッカー部インターハイ都大会より(その1)2026/5/30
【校長からの発信】
No.6 「心で勝負」― サッカー部インターハイ都大会より(その1)
2026年5月30日 校長 森田 勉
早くも5月も終わりになりました。すでに真夏日も記録するなど、暑い季節がやっていました。体調管理に十分に努めていきましょう。今号から2回にわたり、5月17日に行われた、サッカー部インターハイ東京都大会一次トーナメント2回戦の対実践学園高校戦の様子を、チームのコーチングスタッフや選手の声を中心に紹介します。
この日は、東京都代表レベルの強豪校である実践学園高校と相手のホームグラウンドでの対戦でした。本校のサッカー部も、深町総監督、小川監督の体制になってから3年目を迎え、確実に力をつけてきています。しかし、まだまだ成長過程の途中です。格上の実践学園に対して、どのような試合になるのか、大きな期待を抱きながら観戦しました。
試合は、前半10分にコーナーキックからヘディングシュートを決められて失点、後半20分にもゴール前のスクランブルから追加点を決められ、0-2で敗れました。本校の選手たちは、気合十分で激しくファイトし、最後まであきらめずに頑張りましたが、パススピードやワンタッチコントロールなど、随所に両チームの差は見られ、結果として敗戦となりました。しかし、球際での粘りや、身体を投げ出しての守備など、全力を出し切って負けたので、見ている私も、爽快感が残った試合でした。

そして、この日、私が最も心を動かされたのは、試合後の光景でした。ゲームを終えた、チーム同士がハイタッチを交わし、相手ベンチに挨拶をするのは慣例となっていますが、本校サッカー部はそれで終わりませんでした。相手の控え選手、保護者、OB・OGがいる応援席前に整列し、キャプテンが代表して、感謝の弁を述べたのです。通常は、「有り難うございました。礼」で終わるところを、以下のような挨拶をしてくれたのです。
「実践学園の保護者、OB・OGの皆様、本日はご声援を有り難うございました。
私たち高校サッカー部は、横断幕にもある通り『心で勝負』を掲げて活動しています。
私たちは日々支えてくださっている保護者の方々の思いの大きさや感謝を日頃から学んでいます。
サッカーの技術だけでなく、人間としても成長してきました。本日学んだことをこれからにつなげていき、さらに頑張っていきます。そして、実践学園のみなさんも次の日曜日の試合を頑張ってください。気をつけ。ありがとうございました」

これには、実践学園の応援席からも大きな拍手が湧き起こりました。私も思わず目頭が熱くなりました。生徒たちの確かな成長を感じた瞬間だったからです。
試合後に、こういう挨拶はなかなかできるものではありません。この日はキャプテンが素晴らしい振る舞いをしたわけです。もちろん彼がそれをできる力があったということに変わりはありません。しかし、これは彼だけが秀でていることではなく、サッカー部全体にそうした力が身についてきたことの証であるとみています。成長している者が多いからこそ、その力が富士山の裾野のように広がり、チーム全体の姿として表れているのだと思います。とてもうれしく感じた瞬間でした。試合後、そのキャプテンがコメントを寄せてくれましたので、紹介しておきます。
キャプテン 3年 千葉翔太
私はこれまで、3度のインターハイを経験してきました。毎年この舞台に立たせてもらったからこそ、インターハイで敗れる悔しさ、そして仲間や支えてくれる人たちの思いを背負って戦う重みを、誰よりも感じてきたつもりです。そして今年、自分たちの代になりました。「もう負けたくない」「結果を残したい」「これまで支えてくれた人たちに結果で恩返しがしたい」 そんな強い思いを胸に挑んだ都大会2回戦。
相手は、総監督と監督が4年前まで指導していた実践学園高校でした。運命のような対戦に、強い闘志が湧きました。ここで勝って、自分たちの3年間が、東京都トップレベルと言われる実践学園高校にも負けないほど価値のあるものだったと証明したかったです。しかし、結果は0対2での敗戦でした。
この3年間で学んだのは、サッカーの技術だけではありません。感謝すること、礼節、所作、人として大切なこと。今、自分たちが大好きなサッカーに本気で向き合えているのは、多くの人の支えと理解があるからだということを、監督や先生方から教えていただきました。だからこそ、自分たちはサッカーだけではなく、人としても大きく成長できたと感じています。それでも、結果を残すことができなかった。その悔しさは、簡単には言葉にできません。
試合終了のホイッスルが鳴り、サポーターの方々へ挨拶をした瞬間、改めて気づかされました。毎朝早く起きて、欠かさず補食を準備してくれた親。日々、自分たちを成長させてくれた学校関係者の方々。支援を続けてくださったサッカー部関係者の皆さん。そして、毎日の練習でともに高め合ってきた仲間たち。自分は、この人たちをもっと上の景色へ連れていきたかった。その思いが込み上げ、言葉にできないほど悔しかったです。
でも、この敗戦を絶対に無駄にはしません。ここで味わった悔しさを力に変え、残りわずかな高校サッカー人生をすべて懸けて、もう一回り、二回り成長して選手権に帰ってきます。この悔しさを、絶対に次につなげます。
サッカーは、単に技術や勝敗だけを競うものではありません。そこには、人としてどう生きるか、仲間とどう向き合うかという学びがあります。今回の試合を通して、私は改めて、本校サッカー部が「心で勝負する集団」へと成長していることを感じました。次号では、その土台を築いているコーチングスタッフの思いにも触れてみたいと思います。






